必然と偶然と奇跡


たまたま夏休みに両親が仕事も都合で遠くに行くという事で従兄弟の家に預けられた。

従兄弟の赤司征十郎はバスケ部に入っているらしく、主将をしているらしい。


「秋兎ちゃーん、ちょっといい?」


一階にいた、征十郎の母が私を呼んだ。

私はのそのそとベッドから出て、一階へ行く。


『ん?どうかしたの?』

「征十郎が弁当忘れちゃって…届けてくれない?」

『ん、了解』

「あ、地図はこれね」


地図と弁当を渡され、財布と携帯を持ち、準備をしてから外へでた。


『あっつ』


さすが夏だな。熱い。

…玄関で突っ立ってても仕方がないので、とりあえず地図通りの道を歩いていく。

ここがこうで…ここがあれだから…ここ曲がって…これは…?あ、こここっちだ…で、ここがアレだから…

と、試行錯誤を繰り返しやっと帝光中学校に辿り着いた。


『着いたぁー』


なんかそれだけで達成感。

いや、ダメだ。ちゃんと弁当を届けなければ…

そう思い、体育館へ向かう。

何個か体育館らしきものがあったのでとりあえず一番近い体育館らしきとこに入ってみる。


「おぃ!青峰!個人でプレイをするなと何度言えばわかるんだ!」

「だってよ」

「いい訳はどうでもいい!」


入った途端、征十郎の怒鳴り声が聞えた。

皆は怖がっているのか、その付近には誰もいなく、青峰と言われていた背の高い男子が正座で怒られていた。


『征十郎ー、叔母さんに頼まれて弁当もってきたよー』


私は気にせず、その間に入り込み用事を済ませた。


「秋兎か、よくここがわかったな」


まだイライラしているのか、征十郎の声は普段よりちょっと低かった。

そして、周りの練習をしていた人たちが一斉にこっちをみた。


『地図渡されたからそれ通りに来ただけだよ、冒険みたいで楽しかった』

「そうか、弁当ありがとう」

『いや、それより何で正座してんの?そろそろ限界そうだね、足痺れてるんじゃない?』

「罰だよ」

『個人プレーがなんたらかんたらって言ってたねー』

「こいつが馬鹿なせいで俺が毎回同じことを言わされてるんだ」

『へー、それは大変だ』

「興味なさそうだね」

『事実、バスケにも征十郎にもここにいる皆にも何一つ興味がないからね』

「素直に言いすぎだろ」

『別にいいじゃないか、嘘でもスキと言ったほうがよかったか?』

「…秋兎のそういうところが苦手だ」

『そうかい、それはよかった。ところでなぜ皆はこそこそ話しているのかな?』


周りを見ると皆は一斉に目を逸らした。

ただ一人を除いて。


「赤ちん、その子誰ー?」


ただ、中学生にしては身長がでかすぎる彼だけは私達から目を逸らさず、なおかつ話しかけてきた。

征十郎に。


「あぁ、この子は俺の従兄弟だよ」

「へぇ、従兄弟なんだー。俺、紫原敦、よろしくー」


そう言って紫原は、頭をポンポンしてきた。


『悪いけど、君よりは年上なんだ。その扱いはやめてもらおうか』

「えー、同い年か年下かと思ったー」

『背が小さかろうが高校一年生な事には変わりない』

「へぇ、高校一年生なんだー」


そう言って紫原はまた頭をポンポンしてきた。

こいつには日本語が通じないみたいだ。


必然と偶然と奇跡


(で、そこの彼は?)
(青峰大輝だ、馬鹿だから気を付けてね)
(了解)
(おぃ!赤司!)
(なんだ)
(俺はいつまで正座しときゃいいんだよ!)
(俺がいいと言うまで)
(相変わらずSだねぇ)
(このくらいでへばってもらっては困る)
(まぁ、正論かな)


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