この気持ちの正体



「秋兎っち!!」


189pの大きなわんこ(黄瀬)が近づいてくる。…物凄い勢いで。

それを間一髪でよけ、腹部に蹴りを入れる。


『っと』

「ぐはっ」


…と、まぁここまではいつも通りだったのだが一つだけ違う点があった。

それは


「黄瀬君っ?!大丈夫?」

『…は?』


そう、黄瀬の隣には見知らぬ女子がいた。

黄瀬の大きな体で見えなかったが後ろに立っていたようだ。


「大丈夫っス」


そう言ってヘラっと笑う黄瀬はいつも私に見せる笑顔でなんか嫌な感じがした。

…なんだよ、これ。


『へぇ、それ彼女?』

「女の子にそれ扱いっスか…」


どうもイライラする…何故だかはわからない。

ただイライラする。


『で?彼女なの?』


いつも通りの調子で聞いてみる。

そう、いつも通り。何も変わらないし、こいつに彼女ができようが、私には関係ない。


「そうっスよ」

「は、はじめまして…」


黄瀬はヘラっと笑い、その隣で真っ赤な顔で話すその女の子はとても私とは違い、大人しそうで…とても可愛かった。

あぁ、イライラする。イライラする。イライラする。


『そう、新しいのができたんだ。よかったじゃん』


偽者の笑顔を貼り付け、私は笑う。笑う。笑う。

そうしてまた私は毒を吐くのか…

所詮私はこんな人間だ。

こんな、誰にも好かれないような人間だ。


「じゃ、俺らこれから用あるんで!また部活で会おうっス!」


黄瀬は私の隣を通り過ぎる。

隣の女の子はペコッとお礼をして黄瀬の隣を歩いていった。


あぁ…このイライラはなんなんだろうか…

赤司に聞けばわかるだろうか…



この気持ちの正体


(赤司、この気持ちはなんなんだろうね)
(気付いてないのか…)
(え?赤司知ってるの?)
(自分で探せ)
(なんで?)
(もしくは、忘れろ)
(なにを?)
(アイツの事を)
(…え?)


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