雨の日の天使


ある雨の日、俺は傘を忘れた。


「馬鹿だろ」

「秋ちんってそんなに馬鹿だったの?」

『そんなに言わなくてもいいじゃんか!』


赤司と紫原が口々に言ってくる。

教室で鞄の中を見たとき鞄に入れていたはずの折り畳み傘が紛失した。

気付いた時にはもう雨が降っていて、どうにもできなかった。


『あーあ、なんでこういう日に限って部活ねぇの?』

「顧問が決めた事だ、俺に聞くな」

「秋ちんどうするのー?傘ないんでしょ?」

『はぁ…もう濡れて帰ろうかな…』


傘を無くし、なんか力がでなくなっていた俺にはもうどうでもよくなっていた。

あれ結構お気に入りだったのになぁ…


「俺の傘はいるー?」


ポテチをポリポリと食べながら紫原はこてんと首をかしげた。

うわぁ、なんだコイツ…すげぇ可愛いんだけど…


『いや、いいよ。紫原が濡れそうだし』

「えー、入らないのー?」


ショボン…みたいな顔をする紫原に俺は再度心を打たれた。


『ぁ…の…じゃ、じゃあ…入ろう…かなぁ?』


たどたどしいにもほどがある。

別に紫原が嫌いなわけではない、むしろ好きな方だ。

ただ、男子が2人で相合傘とはちょっと気が引けるというか…なんというか…


「どうぞー?」


そう言って紫原は右側を空けてくれた。

もちろん、首をかしげながら。

うん、もうどうでもいいや…



雨の日の天使


(秋ちん、顔真っ赤だねー)
(どうした?風邪か?)
(赤司…!お前分かってて…!!)
(なにがだ?)
(ニヤニヤしてんじゃねぇよ!!)
(赤ちん楽しそうだねー)
(あぁ、すごく楽しいよ)
(あー、もう!)
(秋ちん大丈夫?)
(へ?あっ、あぁ!大丈夫だから…!だから顔を近づけるなぁ!!)


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