一種の病気かもしれないね


※赤司君の双子の弟設定。


「全てに勝つ俺は全て正しい」


そう言った彼は負けを知らない。

僕とは正反対の人間で、関わってはいけない気がする。

それでも僕は彼と関わってしまっている。兄弟だから。

そして、そんな僕は勝ちを知らない。

生まれてから、勝負事で勝ったことがない。

でも、彼がいると不思議なことに勝負事でも勝てた。

一度も勝ったことがない僕に勝ちを教えてくれた征十郎君は大切な僕の兄。

そんな征十郎君は中学校に入り、バスケ部に入った。


『征十郎君?今日も部活?』


玄関にいた征十郎君に声をかける。

僕は部活に入っていないので、休みの日はずっと暇だ。


「あぁ、秋兎も来るか?」

『僕が行っても邪魔になるだけだよ?』


皆によく言われる。僕らは似ていない、と。

双子なのに全然似ていない。そう言われ続けてきた。

勉強もスポーツも何一つ征十郎君には勝てない。

でも、僕はそれで良いと思ってる。

征十郎君がいればそれだけで良いと思っている。

これは…依存しちゃってるかもね…


「大丈夫、そんなことないから」

『…じゃあ、久しぶりに行ってみようかな』


征十郎君は優しい。

それは僕にだけかもしれないし、そうでないかもしれない。

でも、僕はその優しさに何回も救われた。

だから、いつかこんな僕でも征十郎君を救えたら良いな…そんな事を思っている。


「俺が負けれない代わりに秋兎が負けているのかもしれないな」

『どうしたの?いきなり』


学校に向かう途中、不意にそんな事を言う征十郎君が可笑しくてちょっと笑ってしまう。


「いや、ちょっとな…」

『?』

「秋兎が勝てない代わりに俺が勝っているのかもしれないな、と思って」

『…それでもいいじゃん』

「??」


キョトンとする征十郎君は珍しく、また笑ってしまう。


『征十郎君は嫌?今のままじゃ嫌?』

「……」


征十郎君は悩む姿も綺麗で、やっぱり僕とは正反対だと思った。

でもさ、だからこそ2人でいればいいんじゃないかな。


ただ、もしかしたらこの体質は



一種の病気かもしれないね


(嫌じゃないよ)
(そっか、よかった)
(これからも俺から離れないでね?)
(征十郎君もね?)
(当たり前でしょ)
(ずーっと、一緒にいようね?)
(うん)
(でも、征十郎君に彼女できたら僕死んじゃうかも)
(え?)
(征十郎君の隣は僕だけが良いなって)
((可愛い))
(えへへ)


――――――――――――――――――
兄弟で全く逆の体質なら良いなぁって…


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