FF零式 | ナノ

外は雨が降っていて、窓に当たってぱたぱたと音を鳴らす。
土の混じった雨の匂いが鼻をくすぐる。
時間がゆっくりと流れているようで、雨の日はキライじゃない。

私はただいまエースと向き合っている。
お互い無表情で。何をするわけでもなく、じっと。


「・・・・・・。」

「・・・・・・。」



「・・・・・・・・・・・・ブフッ!」

「はは、また僕の勝ち。」

「うー・・・もう一回!最後の正直!!」

「シノ、もう8連敗だよ・・・。
僕に勝てないんだから、諦めたらどう?」

うぅ、また負けた。
演習の時間が急な雨でつぶれ、自習になった今日。
自習と言ってもまじめに勉強しているのはクイーンとトレイぐらいなもので、
私たちも遊ぼうと始めたにらめっこ。
二人で向かい合い、変顔ではなくお互い真顔で向き合っていた。これぞまさに睨めっこ。
そしてエースの余裕そうな表情に悔しい思いをしている今現在。

「じゃぁ、次が最後ね!」

「はいはい。」

「いくよ?
にーらめっこしーましょ、わーらうっとまーけよ、」

「「あっぷっぷ・・・」」



「「・・・・・・・・・・・・・・・。」」


心を無にするのだ私。邪険は全て追い払うのです。
よし、悟った!私今悟り開いたよ!
・・・って、無心になってない時点で悟ってない!!

そんなことを悶々と考えていた。
よし、今回は結構続いてるぞ。そのまま・・・


「・・・・・・・・・・・・エースの無表情、見慣れた。」

実際見つめられすぎて心拍数が上がり、何度も目を逸らしたくなるが強がってみる。
そしてそういう私は真顔。

「そうクポか。」

そういうエースももちろん真顔である。

クポ!しかも声色が優しいから思わず笑いがこみ上げる。
キリッとした顔で優しくクポ・・・!!!!

「ぅぶ・・・ブハッ!!」

急いで口を覆うが、やはり結局は噴出してしまった。
言動と顔がまったく合っていない。
エースはにらめっこの天才かもしれないクポ!

「く、ふっ・・・あはははははは!!!
クポ!!その顔でクポは反則だよエース!!!」

「はい、これで9連勝だね。
もう挑戦お仕舞いだよ、シノ。」

「はは・・・・・・はっ!
・・・うー、やっぱ勝てなかったかー。
なんでエースはそんなに強いかなぁ?」

お腹がよじれるかと思った。
私は机にうつぶせになり、顔だけエースを向きながらたずねる。


「それは・・・シノのこと、ずっと見てたからだよ。」




「、っ」

瞬間に顔が赤くなる。きっと豆鉄砲を食らったような顔をしているんだろう。
時々唐突にこそばゆいことを言い出すのは止めて欲しい。
これじゃ、心臓がいくつあっても足りない。

「・・・・・・ッ、あんまりこっちみないでくれ。」

「じ、自分で恥ずかしいこと言っておいて何赤くなってんのさ!
こっちだって恥ずかしいんだからね!!」

「僕なんか、睨めっこしてる間ずっとシノに見られてて恥ずかしかったよ!!」

「そんなの私も同じだ馬鹿!!いちいちかっこいいんだよこのイケメン!!!」

「これはこっちの台詞だ、シノ顔近づけてくるし、一生懸命で可愛いし・・・」

「なっ!!?なんでそんな恥ずかしい台詞いえるんだよあほ、好きだッ!!!」

「そっちこそ、それに僕のほうが好きだよシノの馬鹿!!!」










「まったく、あのバカップル加減には喝采を覚えますね。
心なしか部屋の温度、3,4℃上がってる気がします。」

「普段は冷静なのに、お互い墓穴掘ってるねぇ〜?」

「あれはあたしでも手に負えないわ。」

「場と言うものを弁えるべきだな。」


『・・・・・・はぁーーーー。』


雨の日。
0組の教室には、真ん中と隅で激しい温度差が生まれていた。


にらめっこ
(つまりは)(モグリン最強伝説)








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ほんとすみません^P^
始めはあっまあまにしたかったんですが、ギャグが乱入してしまいww
エースにあっぷっぷ、言って欲しかっただけです。