FF零式 | ナノ



冷たい金属の感触と、顎が外れる音。
拍子に眼鏡が飛んだのが分かり、視界がぶれる。
僕の眼の前には透き通る空。

ああ・・・僕は今、空を飛んでいる!










* * *


最近、クラサメ君の傍に女の子がいる。
もちろん、彼女ではない。彼は顔はとても好ましいけど、性格が難儀だから付き合ってもすぐに分かれることが目に見えている。

そう、今年から訓練生の中で始まったパートナー制度。
クラサメ君のパートナーが、女なんだ。

このパートナー制度が出来てから・・・いや、厳密にはそのパートナーといるようになってから。
どうもクラサメ君が変わった。
ただ、たんたんと眼の前のものに向かっていくクラサメ君が、彼女に興味を示したんだ。
それが分かった途端に、僕は彼女に興味を抱いた。

一体どんな子が、あの心臓から爪の垢まで氷で出来たような堅物の心を動かしたのか。

その少女の名は、
【シノ・ミスキ】。



彼女は、想像以上に面白い人だった。














さっそく彼女の観察を始めて見た。


まず手始めに実際に彼女の部屋や浴室、服などにカメラや盗聴器などを仕掛けて見れば、・・・・
見事に全て見破られ、10分もせずに破壊された。気づかれることを阻止するため、物体ではなく魔力の、しかも期待の大きさの、極めて高い技術の魔力を使ったのに、だ。
これにはかなりの技術力が組み込まれていて、物質に魔力を送ることによるものではなく、魔力事態を期待として再構築するため、魔法局レベルの人でないと見破れないはずなのに。

次に、僕の作った「人に当てると体の構成が細やかに分かる」、ちょっとした機械を当てて見た。
すれ違いざまにひそかに検査すると・・・・・・
彼女は、女らしからぬいい筋肉が付いていたんだ!体脂肪率が一般女性の平均をはるかに下回り、人で考えればすごく貧相な部類。
だがそれを補うかのようにバランスよく付いている筋肉。見た目は普通に見える二の腕や握力は、きっと力を入れれば日ごろ鍛えている一般男性に勝るとも劣らないはずだ。
そして一番の注目何処は、その割れた腹に意外とがっしりと付いた太もも。
それに滑るような骨格、まさに完璧だ。
面白い・・・!調べれば調べるほど、彼女は底がないかのように面白い・・・・・・!!!




僕は解剖したいという気持ちを抑え、ついに接触を試みた。

時はクラサメ君と一緒にいるときを見計らう。
そのほうが、いざなにかあれば身の安全は保障される。
なに、クラサメ君と僕は親友なのだから、当たり前だよね。

そんなことを考えていると、曲がり角の向こうからシノ。
ああ、シノ!早く君の体に触れたい・・・!!

「初めまして、シノ。
僕はカヅサ。クラサメ君の親友だよ。」

「「・・・」」

「ああ、動揺しているのかい?
いいんだよ、僕アヤシイ人じゃないから。
さぁ、シノ君の体を触らせてほしいな・・・!(´Д`*)ハァハァ」

少し緊張しているのか、シノは数歩引き下がると、眉根を寄せた。

「スサヤ、あなたいい友人いないのね。」

「心配するな、これは友人でもなければ、顔をあわせたことすらない唯の変態だ。」

「え、ちょ、酷いよークラサメ君。
僕たちあんなに語り合ったじゃない!お互いの体で・・・。」

「誤解を生むような発言は慎めカヅサ。
俺はお前と体で語り合った覚えも、ましてや友人になった覚えもない。」

「スサヤ、こいつだわ部屋の魔法の痕跡。一発蹴っていいかしら?」

「ああ、思う存分殺ってくれ。」

「え゛、ちょ、クラサメく・・・・」

「はぁぁぁああぁぁあああああっ!!」








――――そして、冒頭に戻る。











A kink dances the air.
(気持ちいい・・・!!)((・・・気持ち悪い。))





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やっと出せましたカヅサ!この連載のカヅサはこれからずっと変態であり、苦労人です(笑)
そして暖め続けたタイトル、「変態は宙を舞う」。
なんか、カヅサファンの皆様すみませんでした。管理人はカヅサ大好きです。