庭球 | ナノ



01






【幼馴染】

子供の頃に親しくしていた間柄。





安心する単語。
だが、嫌いな言葉だ。


たった一行のその文字に、

尊び、

憂い、

愛惜し、

愚弄する。



それは、矛盾した感情だということはわかっている。
そんなことを考えている自分は愚かだとさえも思う。


けれど、そうでもしなければ、自分のこの感情を抑えられない。

【幼馴染】という囲いがあるからこそここまで近づける。
【幼馴染】という一線があるからそこ、その線を踏み越えられない。

超えたいという衝動と関係を壊したくないという恐怖との間におきるジレンマが自分を押しつぶす。
こんなに弱い自分なんて要らない。必要ない。

そう決めて気持ちに蓋をしたはずなのに。


中から溢れて、

こんなにも俺を、

苦しめる。






幼馴染という壁が俺を




こんなにも









くるしめる。