過去拍手夢 | ナノ
カレンダーを何気なく視界に入れると、暦は今年最後のページを迎えるところだった。

ハロウィンが終わると、イベント好きの日本人は直ぐにターゲットを次へと絞り込んだ。
クリスマス商戦という名の企業争いは、11月から用意しても気が早くないというほどまで血なまこで客寄せを繰り広げる。

私は師走の空を切り取ったカレンダーの日和の、20の部分にある赤丸をぼんやりと見ていた。

今年はどうなるんだろう。

キラキラと輝いていた中学時代、私は征十郎君の誕生日へと思いをはせていた。
あの時は結局、みんなの挙動不審がバレバレでサプライズ失敗したんだっけ。


「······。」

もう一度、一瞬でもいい。
あのころにもどりたい



みんなで馬鹿して笑いあっていた頃

私はバスケ部ではなかったし、あの絆に横入りをする権利なんてないかもしれないけど。

皆ならまた、征十郎君の為に集まってくれるかもしれない。
誰一人嫌いになれる訳、ない。

何も告げずにバスケ部を去った黒子君だって、

誰よりも仲間を大切にした黄瀬君だって、

見ていないところで皆を気遣っていた緑間君だって、

誰よりも前を走っていた青峰君だって、

絶対口にしないけど、みんなが大好きって思っていた紫原君だって、

遠くで見守っているつもりでも、とっくに【キセキの世代】だった桃井ちゃんだって···


みんな、きっと今でも征十郎君が大好きだ。



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to:"黒子テツヤ","黄瀬涼太","緑間真太郎","青峰大輝","紫原敦","桃井さつき"

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件名:

皆さん、サプライズのリベンジを、しませんか。

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「 ·······ふふ」


みんな、きっとずっと、





征十郎君が大好きだ。