過去拍手夢 | ナノ
いつからだろうか



離してはならないと思っていたはずのものたちが

砂のようにサラサラと

僕の手をすり抜けていったと気づいたのは




「赤司君」

瞳で語る黒子の声は、どんな感情を含んでいたか


「赤司っち」

黄瀬は今、俺ではない誰かの背中を追っているのだろうか


「赤司」

緑間、俺に敗北を教えるんじゃないのか


「赤ちん」

紫原、お前はいつまでも隣に居てくれるなんて、淡い期待を持ってしまった


「赤司」

なあ青峰、俺達がいなくてもお前は平気なのか?


「赤司君」

桃井、俺は、主将として間違っていたのか







「征十郎、くん」

そう照れくさそうに俺の名前を呼んだ彼女は

どんな表情をしていたか。




俺が聞きたかったのは、別れの挨拶なんかじゃない

もう一度お前らと上を目指したかった

今度はもう間違ったりなんかしないから



なあ


気づいたんだ



僕は、お前らが





大好きなんだ。