▼一次創作


いつかの彼方に見たあなたを私は忘れないでしょう。



今日も私は寝付きが悪いらしい。瞼を閉じて十を何度数えても意識が底に落ちる気配は、はてとない。幾つの十を数えたか。こうも眠らせてくれないと、余計なことまで考えてしまうもので、今頃柔らかいシーツの中で眠るだろう彼女の寝顔を考えてしまうのだ。

彼女に想い人がいると知り、私の視界は真っ白になった。信じずとも事実はそこにあり、彼女は去る二月の十四に一世一代の告白をしたのであった。
結果は知らない。知らないがこの際だ。キッパリと諦めることを決心したのは今朝方だったというのに、結局こうして暇さえあれば余る気持ちを育ててしまうのだ。
うつらうつらと瞼が降りてくる。
結局眠りに着いたのはその日の朝方であった。私の長い夜は瞼の裏に消えていった。


同じ日の昼に目が覚めた。
目が覚めると最初に彼女のかおが浮かんだ。きっと眠りにつく前にあんなに考えていたからだ。一日の初めから決心が鈍ってしまうような気分になって、少し不快になった。
中途半端な時間に起きてしまったし、何と無く朝飯を自炊するのも億劫で、私は外に出ることにした。
こんな時間にやってる店なんてあるのか、いやないだろうと半分諦めつつちょっとした街に行く河原道を歩いていると、のれんを上げた屋台引きがあった。



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