『幸村の病気が再発した』


月曜朝一のHRで先生が重苦しく口を開いた。クラスは水をかけたように静まり、それは私に1年前の空気を思いおこさせた。最近学校休みがちだったからな、金曜日体調悪そうだったもんな、と、頭では冷静に考えているけれど心は酷く壊れてしまいそうだ。


「幸村くん、大丈夫かなぁ」
「再発って事は入院?お見舞い行こうかなー」
「少し幸村くんに近づけるかもね、チャンスじゃん」


隣で髪の長い女の子がそう言った。彼女達はそうする事で、優しくて気さくな女の称号を得たいのだろうか。私もそうすれば彼の心の欠片に入りこむことができるのだろうか?と考えて、やめた。そんなわけがないと、小さいため息を吐ければどんなにいいだろう。


「静かにしろ、」


幸村くんと私は委員会が一緒というだけでとりとめて特別な関係ではない。…というのは私が予想する幸村くんにとっての私との関係であって、私はそうではなく特別な感情を抱いている。



美化委員を選んで彼が生粋の植物好きだと知った。植物に向ける瞳に彼の優しさを見た。屋上庭園の花達に水をやっているのは私だけではなかった。




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