無意識のうちにあの台詞

片思いって辛いよな。けど、楽しいだろ?あいつ今は何を考えてるんだろ?誰が好きなんだろ?そうやって考えてる時が一番楽しいだろ?
だけどやっぱ辛いんだ、苦しいんだ。
俺はこの気持ちを、どこに投げればいいのやら。

むしのしょ、さかなのしょ。そう呼ばれる俺たち。俺たちは図書館という狭苦しい空間に閉じ込められている。
体は鎖で繋がれて、外の世界は知らぬまま。
唯一の外とのつながりは、校長先生と、クラスメイト。それとあいつ…アンジュが来てくれることだけ。
実際に自分の体を使って外の世界を知ることはない。これまでも。そしてこれからも。
だからこそ、外の世界を知っているあいつらを羨ましいと思うんだ。

「なあ、さかなのしょ」

「はい、なんでしょう?」

「片思いって…どんな感じなのかお前にはわかるのか?」

「……ふふ、むしのしょもそんなお年頃ですか」

「お年頃って…お前も大して変わらんだろ」

「まあ、そうですがね。…アンジュさんのことですよね?」

「…なっ…」

全て分かってるみたいな目で問いかける、さかなのしょ。隠してきたつもりなんだが…。

「わかりやす過ぎますよ、むしのしょは」

「はあ!?ど、こが…」

「貴方の、いつもアンジュさんに言ってる台詞ですよ。あれじゃ完全にツンデレです」

「つ…つんでれ?」

訳が分らないと目で伝えても、さかなのしょはため息を吐くだけで教えてはくれなかった。

――そして

「やっほー!むしのしょ、さかなのしょ!!
今日はどっちともおっきいのがとれたんだよ!」

また、笑顔であいつが来た。
登録した最後には、また無意識のうちにあの台詞を言う。

「まったく、めんどくせえ。まあどうしてもっていうならまた来てもいいんだぜ?」


さかなのしょがまた1つため息を吐いたのは、聞き流すことにした。








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