サラリーマンの癒しの時間、金曜日の夜。
タクシーの運転手の俺にとっては一週間で最大の稼ぎ時だ。

さてさてお客様、今日はどちらまでイかれますか?

>>調教タクシー

会社のトイレで淫靡な音をたてながら尿道に挿れたバイブを弄る。便器の上でM字開脚しながらペニスからはみ出したバイブを指で動かすと、下半身が痺れる程気持ちいい。
最初は痛いだけだった尿道バイブも、今ではアナルに入れたバイブと乳首につけたローターの三点攻めをされないとイけない体になってしまっている。
(あ、やだぁ…き、きもちいいよぉ)
会社でこんなことしちゃいけないと思いながらも、淫らに開発されは体の疼きが止まらず、毎日のように自慰に浸ってしまう。
ぐちぐちとペニスとアナルのバイブを出し入れすると、すぐに絶頂が近づいてくる。
(あっ、はぁ、は、もうイくっ)
イく瞬間バイブを引き抜いて、ペニスをハンカチで包んで射精した。
そっと息を吐いて射精後の余韻に酔いしれる。煙草を吸うと言って出てきたのだった。そろそろ戻らなければと思いながらも、疲れて瞼を閉じた。

* * *

俺はとんでもないMで快感に貪欲だと知ったのは、初めて付き合った男と抱き合ったとき、慣らしもしないで挿入されて感じてしまった。生温く優しくされてもイけないが、痛くされると痺れるようにすぐに絶頂を味わえる。
そんな俺が気持ち悪かったのかそいつとはすぐに別れてしまったが、男に抱かれる快感が忘れられずに自分で開発して今に至ってしまった。
地位も確立してしまった今ではこの異常な性癖は隠し通さなくてはいけない。
「土方専務!」
「……」
後ろから部下に呼ばれて振り向くと、何やら深刻な顔をしている。俺は普通の上司の仮面を被って接する。



自分を隠して生活するのは気疲れする。俺はそれを忘れるために居酒屋で杯を重ねる。
前後不覚になりながらふらふらの状態で熱い店の中から出ていく。身も凍えるような寒さが心地好い。冷たくなった頬に手を当てて温めながら、タクシーを待っていた。
キキッと高い音をたててタクシーが停まり、助手席のドアが開いて、覚束ない足元で椅子に座った。
「お客さん、どちらまで?」
「あぁ、壬生町の…」
そう言いながら運転士の横顔を見て心臓が跳ね上がった。
ハンドルを握る白い手袋と帽子からはみ出した銀髪が夜目にも白く輝いて見える。居酒屋街のネオンを浴びて横顔がキラキラと光っていて、整ったその顔立ちにドキリとした。
「お客さん?」
「…ッあ…す、すみません」
色素の薄い瞳に見詰められてさらに顔が熱くなる。目の鋭さや唇の薄さがたまらなく俺好みだ。視線を落として赤くなった顔を隠す。
「お客さん、もしかして…」
運転士はそんな俺の反応に何か思い当たることがあったのか一人て考え込んでいる。俺はよく分からず首を傾げるが、気付いた時には車が動き始めていて、慌ててシートベルトを付けた。
「アンタ…あっちの客なのか?」
「?」
「銀さん的には大歓迎だけど、なんつーか…意外だな」
小さい声でそう言って、車を走らせていくとどんどん見たことのない景色になっていく。驚いてタクシーメーターを見ると、0のまま起動されていない。
不信に思っていると、突然車が停まって、慣性の法則に従って俺は前のめりになった。
「着いたよ、降りて」
「え?」
着いたのはタクシー会社、乗っていたのと同じ車が列になって並んでいる。会社は煌々と明かりが照らされていて、まだ営業しているらしいことが分かった。呆然としていた俺を引きずりだし、運転手に強引に外に出されて歩いていく。身の危険を感じて振り払おうとするが、掴まれた腕の力が強くて逃れられない。
「は、離して下さい」
「大丈夫大丈夫、怖がらなくてもいいよ」
裏口から社内に入ってすぐに、地下への階段がある。暗い地下室に連れていかれて段々パニックになってきた。
重厚な扉を開くが、あまりの暗さに何も見えない。僅かに香る血の臭いと時折聞こえる何かを叩く音に暗闇から恐怖心が煽られる。
「震えてる?大丈夫だよ、すぐ気持ち良くしてあげるから…っ」
力が緩んだ瞬間に掴まれた腕を振り払って距離をとる。
「あらら、どしたの」
「…なんでこんなとこに…」
「そーゆー仕事だし…あれ、もしかして知らなかった?」
真っ暗闇の中、運転士は手探りで明かりを見付けて、ブレイカーのようなそれを引き上げた。
強い光に目が眩み、一瞬目を閉じた。恐る恐る薄目を開けて、その光景に戦慄した。
「ここって…」
「うちの社の特別肉接待、M豚調教室だよ」
そこは地下牢と呼ばれる場所だった。楽しげに笑う運転手と同じ制服を着た奴らが鞭や蝋燭を振るっている。
俺はその光景に心が震えながらも、背筋をはい上がるような興奮を抑えられなかった。





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