離れていても



 本当はね楽しみにしていたの、一緒に過ごせること。


 だけどお仕事が忙しいの分かっていて、「寂しい」って言っちゃいけない気がしてた。




 私と石神さんが付き合うようになって1年がたった。


 最初の出会いは最悪だったけれど、幾つもの事件を解決していくうちに石神さんの優しさを知るようになって、いつのまにか私は石神さんのことを好きになっていた。


 フランスの事件がきっかけで私と石神さんは、正式に付き合うこととなった。


 それが去年の2010年7月21日。


 自分の誕生日以外で記念日を経験したことがないから、私は石神さんと過ごせることを期待した。


 でも石神さんのお仕事は特殊なので、捜査が始まると解決まで会ったり連絡したりすることは出来なかったから、もしかしたら一緒に過ごせない不安もあった。


 ――トゥルルル♪――


 私の携帯がなった。


 画面には石神さんの文字が……


「はい、もしもし。」
「石神です。」
「石神さん!!」


 久しぶりに聞く石神さんの声。


「元気にしてますか?」
「ええ、元気ですよ?石神さんは?」
「私は特に変りはないです。」


 電話越しの石神さんの声を聞くととても安心する。


「そうだ、7月21日のことなんだが……」
「はい。」
「すまないが事件の捜査が長引いてしまい、帰れそうにもない」
「そう・・ですか、大事な捜査ですから私は気にしてませんよ。お仕事がんばってください!!」
「本当にすまない、終わったら真っ先に連絡する」



 ――ツーツーツー……――


 あっという間に会話が終わってしまった。


 分かってる、分かっているけれど、最初の1周年記念は過ごしたかったのが本当の気持ちだった。


 でも石神さんの仕事の大変さもわかっているから、私のわがままでこの日だけは来てほしいとは言えなかった。



 2011年7月21日の記念日は一人で過ごした……。





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