ぎゅっと
◆後藤side◆
突然の長崎への旅。
俺は亡き元恋人の墓前へ連れて行き、「共に生きたい人」だと彼女を紹介した。
彼女に想いを告げ、口づけをしたときは長かった暗闇から抜け出せたような気がした
本当ならゆっくりしていきたかったが、日帰りで東京へ戻らなくてはいけない
帰りの飛行機の中、緊張の糸が切れたのかぐっすりと寝ている彼女の横顔を見る
(綺麗だ)
(SPじゃないが、これからずっと守っていきたい)
俺はそう思った。
俺は立ち上がって荷物入れから本を取り出そうとしたら、ジャケットがひっぱられる感じがした。
ふとジャケットに目を向けると、彼女の手が俺のジャケットを掴んでいた。
「……」
これから事件の捜査の度に寂しい思いをさせるかもしれない。
一緒にいられる時間が限られるが、ちゃんと帰ってくるから安心して欲しい。
俺は荷物をとらず座りなおして、ジャケットを掴んでいる彼女の手を握った。
ぎゅっと
今は掴んだ幸せを逃さないように、飛行機が着陸するまで握りしめた。
ふと彼女の顔を見てみたら、寝ている彼女の顔が微笑んだように見えた。
2013/12/27改定
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