総司さんが死んだのは、一月前のことだった。
穏やかな日々が流れ、やっと2人で幸せに暮らせると思っていた。
なのに。
総司さんは、私を残して死んでしまった―

「…名前」
「さ、斎藤、さん…」
1人になった家を訪ねて来たのは、新選組時代に一緒だった斎藤さんだった。
「総司が死んだという話を聞いた、」
「っ…」
「大丈夫か…?」
「ごめんなさい、まだ、」
私が言いかけると斎藤さんは1枚の紙を私に差し出した。
「これ、は…?」
「総司からの手紙だ」
胸がドクンと高鳴る。
「自分が死んだら渡して欲しいと…預かっていた」
私はそれを受け取った。

少し上がったら、と言ったが斎藤さんは「また来るから、そのときに、」と帰ってしまった。
私は恐る恐る総司さんからだという手紙を開いた。
そこに書いてあったのは―


名前へ
この手紙を読んでいるということは、僕は死んだんだね。
君を置いて行って、ごめん。
でも、自分がもうそろそろだと言うことは、薄々気づいてた。
だから、一くんにこの手紙を渡したんだ。

病気だと分かったとき、僕は怖かった。
それで死ぬより、名前が僕のそばからいなくなっちゃうんじゃないかって、それが怖かった。
だけど名前はずっとそばにいてくれて…本当に嬉しかった。
ありがとう。
愛してるよ、名前。


「総司…さん…っ!」
そしてその手紙の最後には、こう書いてあった。

僕が死んでも、僕の分まで
君は生きて

「総司、さん…私も…愛してます…っ」
私は、あなたの分まで精いっぱい生きていきます。
私が言うと、どこかからか総司さんの声が聞こえた気がした。




Back

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -