ある日の放課後のことだった。
「総司せんぱーい!」
「名前ちゃん? どうしたの?」
珍しく僕が部活していると、そこに名前ちゃんがやってきた。
「はじめ先輩に今日は総司先輩がいるって聞いたんで!」
「あはは、そうなんだ」
ニッコリと無邪気に笑う名前ちゃん。
うん、いつも通り可愛いよ。

「で、なんですけど…私、差し入れ作ってきたんです!」
「え、差し入れ? 嬉しいなあ」
「ほんとですか!? よかったあ…」
何を作ってきてくれたんだろうか。
楽しみな僕の前に差し出されたものは―

「レモンの醤油漬けです!」

黄色と黒の何か。
「……え? 醤油漬け?」
「そうです! やっぱ差し入れにはコレですよね!」
「えっと…それってレモンの蜂蜜漬けじゃなくて…?」
「……はっ……もしかして私、間違った…!?」
「ぶはっ」
この子は本気なのか。
「醤油とみりんで迷ったんですけど…蜂蜜だったか…!」
醤油とみりんかあ…
…どっちもアウトだよね。

「ご、ごめんなさい総司先輩! 川に流してきます!」
「環境に悪いでしょ」
「あ、そ、そうですね……あっ!」
名前ちゃんが持っているタッパーから一切れレモン(みたいな何か)を取って口に入れる。
「………うん、すっぱしょっぱいね」
「ごめんなさい!」
こんな不思議なものを食べたのは初めてだよ。
僕がそう言うと、名前ちゃんは何故か嬉しそうに笑った。

個性的な彼女

「次からは蜂蜜だと嬉しいな」
「はい! 善処します!」
さすがに2回連続で醤油漬けは…許さないからね?




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