「…ねえ、総司」
「何? 名前」
「あと1ヶ月…よね」
「そうだね」
総司はビールを飲んでいる。
「あと1ヶ月…なのに、」
私はグラスを握りしめる。

「なんでまだお兄ちゃんに言えてないの…!?」

「だって…ねえ?」
「やばいよ、ほんとにあと1ヶ月だよ!? なのにお兄ちゃんに言えてないとか…!」
「じゃあ僕が言おうか?」
コトン、とビールを置いて総司が言う。
「え、ほんと…?」
「うん、明日みんなで飲むからそのときに」
みんなっていうのはいつものメンバーのことだろう。
「じゃあ、よろしくね」
「うん、まかせといて」
…少し不安だけど。


そしてその次の日。
僕はいつものメンバーである一くん、平助、左之さん、新八さん、土方さんと飲んでいた。
「酒だ酒!」
「もっと飲もうぜ!」
「このメンバーで飲むのは久しぶりだからな」
三馬鹿はいつも通り。
一くんはちびちびと飲んでるし、土方さんはウーロン茶を飲んでいる。
うん、いつも通り。
じゃあ、言おうかな。
「土方さん」
「…何だ?」
しかめっ面でウーロン茶を飲んでいた土方さんが僕を見る。
僕は満面の笑みで言った。

「僕結婚するんでよろしくお願いしますね、おにーさん♪」

土方さんどころか、全員がガチャンと飲んでいたものを落とす。
静寂が訪れる。
「お兄さん…だと?」
「ってことは、」
一くんと左之さんが言いかけると、土方さんがそれを消すように大きな音を出して立ち上がる。
「お前…まさか名前と、」
「正解ですよ、さすがおにーさん」
「俺はお前のお兄さんじゃねえ!」
土方さんがバンッとテーブルを叩くと、みんながビクッと身を震え上がらせる。
「許すはずねえだろ…お前なんかに俺の妹はやらねえ!」
さすがシスコンの土方さん。
しかしそれに負けず、僕も言う。

あなたの妹は、
もう僕のもの

「名前はお前のじゃねえ!」
「僕のものですよ、あと1ヶ月で結婚したら沖田 名前になるんですから」
そう言うと、土方さんはものっすごい嫌な顔をして、酒に手をつけ始める。
うん、酔ったら説得しやすいかもね。
―あと1ヶ月、そうしたら君は完全に僕のもの。





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