…あれ、もう朝?
そう思いつつ、目を開ける気はない。
いいや、今日は遅刻でも。
そしてまた眠りに落ちようとしたとき―

『ドンドンドンドンドンドンドンドンドン』

すごい勢いで叩かれるドア。
「げっ、まさか…!」
打音の後に聞こえたのは、ドアの開く音。
「…名前」
「か、かかかか薫!」
そこにいたのは、やっぱり幼なじみだった。

「遅刻するよ」
「なんで今日に限って迎えにくるの」
「俺の気分」
くっ…俺様薫様が…!
「ほら、早くしろよ」
だけど、そんな綺麗な顔で見つめられたら。
「…はい」
つい、答えちゃう。
君の目に映る私は…どんな存在?
幼なじみ、だよね…?

「あーもうギリギリだ…お前が寝坊するから」
「いいじゃん間にあうなら!」
「よくない、俺は風紀委員だから」
「知らないよそんなの! あと薫歩くの早いんだけど!」
競歩の選手にでもなる気!?
私がそう言って薫を見ると。
「…しょうがないな」
と言って、私の手を引っ張る。
…え? 何これ。
私…薫と手繋いでる?

「お手をどうぞ、愛しい幼なじみさん」

薫はニヤリと笑う。
そんな薫に、私は叫ぶ。

薫なんか、
愛しくない!

「へー? そうなの? ふーん…」
「な、何…」
「…俺は、名前のこと好きだけどね」
「…っ!?」
君の目に映る私は、
「好きなやつ、だけど?」





Back

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -