「まさか僕より先に一くんが結婚するなんてさあ…」
そう言って僕はちびちびとお酒を飲む。
「私も一は遅いんじゃないかと思ってたけど…先越されたわね」
「こんな歳になって名前と2人で飲んでるなんて…僕は一生結婚できないんじゃないかな」
しかも名前の部屋で。
「かもねえ」
一くんは大学のときから付き合っていた彼女と結婚した。
あの硬い一くんに先を越されるなんて、思ってもなかった。
「でもあの2人お似合いだし、よかったじゃない」
「いい悪いじゃないの、順番なの」
「そんなのにこだわってるんじゃないわよ」
付きあってる子もいないくせに、と名前は言う。
確かに今はフリーで、寄ってくる女の子はいっぱいいる。
けど…なんか違うんだよね。

「私は最初っから総司は遅いんじゃないかな、と思ってたけど」
「えー…じゃあ僕が結婚できないのは名前のせいだ」
「人のせいにするんじゃないわよ」
名前はそう言ってお酒を飲んでいる。
名前は大学で1つ上だった先輩で、時々こうして飲んでいる。
お互いの部屋に行ったりもするけど、恋愛感情は無かった。
女友達、というやつだろうか。
「あーあ、私も結婚したいなあ、一の彼女幸せそうだったし」
だけど、名前がそう言ったから。

「じゃあ、結婚する? 僕と」

僕もそう言ってみた。
「…は? 総司と私が?」
「いいんじゃない? 別に」
「別にって…結婚ってそんなに軽いものだったかしら」
「そんなもんでしょ」
「えー…総司か…」
年下だからなー、と名前が腕を組んで考えている。
だから僕は、名前を押し倒して、言った。

歳なんか関係ないよ

すると名前は顔を真っ赤にした。
「じゃあ…お試しで付きあってみる?」
僕がそう言うと、名前はコクンと頷く。
こうして僕と名前のプロポーズからの交際が始まったのだった。




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