苗字と出会ったのは、新学期が始まって1週間くらい経った頃だった。
俺はいつも通り校門に立っていて、たくさんの生徒が歩く中、ある目立った女子生徒が来た。
金髪で青い目で、外国人みたいな外見。
一瞬で目を奪われた。

まさか…留学生かなんかだろうか?
じっと見ているとその彼女が振り向き、不思議そうに俺を見る。
「ハ、ハロー…」
焦った俺はそんな言葉を口走る。
すると、彼女は―
「あははっ! おもろいなあ、あんた!」
と、普通に日本語…それも関西弁で喋った。
「…外国人ではないのか」
「うちはハーフなんよ、母親が外国人や」
「そうか…」
…恥ずかしいことをしてしまった。

「あんた、名前は何ていうんや?」
「…斎藤 一だ」
「斎藤か、うちは苗字 名前や」
「苗字か…」
「斎藤は何年や?」
「2年だが」
「なんや、先輩か!」
先輩…ということは。
「あんたは1年なのか…?」
「そうや、ピッチピチの1年や!」
ピッチピチかどうかは分からないが…後輩だったのか。
「じゃあ斎藤、またな」
「斎藤先輩と呼べ」
「ええやん! またな!」
そう言うと苗字は走って校舎に入って行く。
「…何だったんだあいつは…」
そんなことを言いつつ、俺の顔は緩んでいた。

そして、放課後。
風紀委員の仕事を終えて剣道場に行くと、そこにいたのは―
「あ、斎藤やん!」
「苗字…!?」
胴着を着た苗字だった。
「なにゆえここに…」
「うち中学でも剣道部やったし、高校でも入部したんや!」
そう言って苗字は満面の笑みで手を差し出す。
「よろしくな、斎藤!」
「…ああ、よろしくな」
その手を受け取り、俺もニコリと微笑んだ。

これから君を、知っていく

「…はあ〜、斎藤強いなあ! うち勝てへんわ」
「当たり前だろう…」
男が女に負けるなんて、情けないからな。




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