南雲家編・第一話










『おねえちゃん!』
小さい頃、薫はいつも私に着いて回っていた。
『おねえちゃん、待ってよぅ…』
『これ、美味しいねっ!』
『おねえちゃん、大好きっ!』
可愛かったなあ。

「姉さん。 好きな人できたってどういうこと?」

今は全然可愛くないけど。
…むしろ怖いけどっ!
「ななななななななななんのこと?」
「誤魔化したって無駄だよ」
なんでこいつはこんなに情報が早いの!?
「え、えっと…」
「俺、聞いてないんだけど」
言ってないからね!
「誰?」
薫の目が怖い。
「早く言った方が楽になれるよ?」
え、何?
私殺されるの?
「…相手がね」
あ、ダメだこいつ。
よし…じゃあもう一か八かでっ!
「す、好きな人出来たって嘘だよ」
「嘘つくな」
「ごめんなさい」
一瞬でバレた。
くそ…どうすればいいんだ…!
…好きな人がアイドルだなんて、言えない!




というか好きな人じゃなくて単にファンなだけなんですけど!!
「早く」
「あの、笑わない?」
「笑わないよ。 殺すけど」
「…ア、アイドルの沖田 総司くんです…」
「了解。 殺ってくる」
「待ってえええええええええ!!」
私の弟は…怖いです。






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