『おねえちゃん!』
小さい頃、薫はいつも私に着いて回っていた。
『おねえちゃん、待ってよぅ…』
『これ、美味しいねっ!』
『おねえちゃん、大好きっ!』
可愛かったなあ。
「姉さん。 好きな人できたってどういうこと?」
今は全然可愛くないけど。
…むしろ怖いけどっ!
「ななななななななななんのこと?」
「誤魔化したって無駄だよ」
なんでこいつはこんなに情報が早いの!?
「え、えっと…」
「俺、聞いてないんだけど」
言ってないからね!
「誰?」
薫の目が怖い。
「早く言った方が楽になれるよ?」
え、何?
私殺されるの?
「…相手がね」
あ、ダメだこいつ。
よし…じゃあもう一か八かでっ!
「す、好きな人出来たって嘘だよ」
「嘘つくな」
「ごめんなさい」
一瞬でバレた。
くそ…どうすればいいんだ…!
…好きな人がアイドルだなんて、言えない!
というか好きな人じゃなくて単にファンなだけなんですけど!!
「早く」
「あの、笑わない?」
「笑わないよ。 殺すけど」
「…ア、アイドルの沖田 総司くんです…」
「了解。 殺ってくる」
「待ってえええええええええ!!」
私の弟は…怖いです。
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