沖田家編・第一話










私には弟がいる。
それは―
『みんな、今日はありがとー!』
「…うさんくさ」
テレビの中でたくさんのファンに微笑むこいつ。
―そう。
私の弟、沖田 総司はアイドルだ。
『キャアアアアアア、総司いいいいいいい!!!』
『かっこいいいいいいい!!!』
ファンは顔を真っ赤にしてペンライトを振っている。
他のメンバーもいるのに、総司が1番呼ばれている。
ということは…総司が1番人気ってことだ。
「みんな騙されてるよなあ…」
総司、外面はいいから。
…あんなに悪魔なのに。

「姉さん」
「…げっ」
呼ばれて後ろを向くと、今さっきまでテレビに映っていた大人気アイドル様がいた。
私はすぐさまテレビを消す。
「げって何さ。 せっかく可愛い弟が帰ってきたのに」
「可愛い弟? は?」
「ひどいなあ」
総司は笑うと、私が食べていたプリンを一口で残さず食べてしまう。
「ちょっ、私のプリン!」
「可愛くないとか言うからだよ」
「そういうところがな!!」
ああ、私のプリン…
「いらなかったんでしょ?」
「いるよ! 楽しみにとっておいたの!」
「よかったね」
「何がだよ! お前の私物オークションにかけんぞ!!」
「それ犯罪だからね?」




「昔はあんなに可愛かったのに…天使だったのに…!」
「何言ってるの? 今でも天使でしょ?」
「キモ…」
「何?もう一回言って?」
「ごめんなさい」
それは、天使で悪魔な存在。






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