君の罠に騙されて ----------------------------------------------------------------------------- そしてそれから30分後― すでに平助、左之さん、土方さんの3人は死体と化していた。 『さすが名前の料理…』 『恐ろしい…!』 残った僕と一くんは相当ピンチ。 今まではギリギリ食べられるものをつかんできたが、そろそろ名前の料理がきそうで怖い。 名前の料理が怖い理由、それは― 名前の料理は兵器と化すくらいに下手…もう下手どころではないからだ。 だって、鍋に入れただけでもう3人も死んでるんだよ? こんなの、兵器としか思えない…! 「次一くんだよ!」 顔は見えなくとも、一くんの顔が真っ青なのは分かる。 一くんともそろそろお別れか… 「ぐ…」 やはりそれらしきものをつかんでしまったようだ。 「総司、名前…さらばだ」 一くんはそう言うとそれを食べたらしく、隣でバタンという音がした。 なんてかっこいい終わり方なんだ…! ―これで、残りは僕と名前だけになってしまった。 「一くんまで寝ちゃったの? 総司と2人っきりじゃん! きゃー!」 はは、全然嬉しくないんだけど。 「じゃあ次! 総司だね!」 2人っきりになってもなお、続ける気満々。 ニコニコと笑っている名前に騙されそうになりつつ、 「そろそろやめない?」 やっとそう言った。 「えー!? もうちょっとやろうよ!」 「でも僕お腹いっぱいだし。 みんなも寝ちゃったし、ね?」 「うー…」 不満そうな声を漏らす名前。 「…しょうがないなあ」 そんな名前に僕は、 「ん…っ、そう…っ!?」 キスをした。 ―そして名前はその場にパタンと倒れた。 「ふう…」 僕はため息をつくと、パチンと電気をつける。 あーあ…みんなほんとに倒れてるし…名前も。 ちなみに名前も倒れてる理由。 それは、僕が兵器を口移しで食べさせたからだ。 「こうするしかなかったんだ…」 このままだと僕も死ぬところだったなあ。 …まあみんな朝になれば起きるでしょ。 倒れている名前の横に座り、名前を見る。 君のことは大好きだ。 むしろ、愛してる。 けど― 「料理だけは…ごめんね」 そう呟くと、僕は眠りについた。 「―じ、総司!」 「え何誰」 「俺だ」 「起きてー!」 この声は…名前と一くん? 「よかった! 生きてたんだ!」 「へ?」 「何のことだ?」 え、記憶ないの? 「それより、だ」 「これ、片付けちゃおうよ!」 名前と一くんが指す方向を見ると、 未だに倒れている3人と、紫のスープ(?)に奇妙なものが浮かんでいる鍋の残骸。 あ、僕が持ってきたしめサバと金平糖も入ってる。 「3人は起こしても起きないから、こっちの3人で食べちゃお!」 そう言って笑う名前にまた騙されそうになる。 「…はい…?」 地獄はまだまだこれからだった。 NEXT あとがき ← → Back |