事故で気付いた恋だって ----------------------------------------------------------------------------- -藤堂平助- 「ドキドキ☆男だらけのお泊まり会ー!!」 「帰っていいか」「帰っていい?」 「わー!! 待てって今のノリは謝るから!」 しぶしぶ、という風に総司と一くんは浮かせかけた腰を戻す。 危ねえ…帰られるとこだった。 「で…なんなんだいきなり「泊まりに来い」とは」 「そうだよ。 そんなこと言うってことは何かあるんでしょ?」 「う……」 さすが総司と一くん、感が良すぎる。 「早く言いなよ」 「いやー…えー…んーと…」 「早 く 言 え」 「言います言います言いますから睨むなって!」 一くんの睨みはマジで怖いんだって…! 俺は一呼吸おくと、2人に向き直って言った。 「ちょっとした事故だったんだけど…苗字と、キスしちまって…」 うつむいた顔を上げると、2人は固まっている。 「キス…?」 「平助と、苗字がか…?」 「おう…睨むなって」 2人が後輩の苗字を可愛がるのも分かるけどさ! 「で?」 「それで?」 鋭い視線に急かされる。 「なんかそっから、妙に苗字のことを意識しちまって…」 「なるほど」 「好きになっちゃった、と」 「………は!?」 好き!? 「今の話からどうしてそうなるんだよ!」 「え、絶対そうでしょ」 「うむ。 だから早く告白しろ。 以上、解散! 「うおおおおおい待てって!」 本気で帰ろうとする2人をギリギリ引きとめる。 すると2人は、 「ああもうキャンキャンうるさいな! とにかく平助は名前ちゃんが好きなの!」 「だから早く告白しろ! 分かったか!」 「は、はい!」 ………え? 「じゃあ明日、頑張ってね」 「応援してるぞ」 思わず返事しちまったけど… 「告白、って」 どうするんだ!? そして翌日。 「えと、話って何…?」 俺は(総司と一くんの策略で)苗字を中庭に呼びだしていた。 「あー…えっと…」 …なんて言っていいか分かんねえ! 「なんか分かんないけど…私も言いたいことあるから、先に言っていい?」 「お、おう…」 「あのね、平助」 苗字はスウッと息を吸うと、ニコリと微笑んで言った。 「私、平助が好きだよ」 「そうか…………え?」 「あはは、平助変な顔」 「だ、だってお前、」 「ん?」 「それ、俺も言おうと思ってたし…!」 俺が言うと苗字はポカーンとした顔になる。 「…嘘」 「嘘じゃねえよ! キ、キスしちまった日からお前のことが気になって…って、うえ!?」 苗字は泣いていた。 「わ、私、嬉しくて…」 「だからって泣くなよ!」 「だって、私―」 キスする前から平助が好きだったんだもん。 ―事故で気付く恋は、ありですか? ← → Back |