「進路かあ…」
「ああ」

進路 斎藤編

「一くん、何になるの?」
「俺は教師になりたいと思っている」
「へー! もう決まってるんだ」
「ああ」
一くんは用紙にサラサラと綺麗な字で「教師」と書く。
「私はどうしよっかなあ…」
「迷っているのか?」
「いや、進路は迷ってないんだよね」
私が書いたのを見ると、一くんは納得したような顔をした。
「お前の家はケーキ家だったな」
「そうそう、それ次ぐんだ」
ケーキを作るのは好きだし、小さい頃から次ぐものだと思ってたしね。
「じゃあ、何を迷っていたのだ?」
「一くんと離れ離れになっちゃうから寂しいなあ…って」
私がそう言うと、一くんは顔を赤くした。
そしてその赤い顔のまま、私をまっすぐに見つめて言った。

「なら、俺の嫁になればいい」

私の進路―
それは、一くんのお嫁さんに決定したみたいです。









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