気になるって言ったって、土方先生は先生だ。
伝えられるわけないし、伝えたって叶うわけない。
まあ、まだ好きって決まったわけじゃないんだけど…
それと、もう1つ理由があるから。
だから―
先生のことは、好きになっちゃだめなんだ。
私は自分に言い聞かせた。

…そういえば。
総司と一くん、帰ってこないなあ。
よく見えなかったけど何かを持ってどこかに行ってしまった。
何しに行ったんだろうか?
そう思っていると、2人はヨロヨロと歩きながら帰ってきた。
「どうしたの?」
「いや…なんでもない…」
「…ふっ」
え、怖いんだけど…
「何してきたの…?」
「…殺人未遂?」
「完全犯罪だ」
「ちょっ!?」
まさかこの2人、誰か殺してきたの!?
「誰!?」
「土方さんが…さあ…」
「…まさか…土方さんが…」
「土方先生!? 殺してきちゃったの!?」
なんか全然死にそうにないのに!

私がそんなことを考えていると、一くんはさっきとは違って真剣な目で私を見て言った。
「俺たちは、お前の幸せを願っている」
総司も私を見て、ニコリと笑う。
「しかし、土方さんは先生だ、あと…お前は、」
「分かってる」
私は一くんの言葉をさえぎるように言った。

「何より、私は―あと1ヶ月しか、日本にいないんだしね」

それに。
「土方先生を好きになっちゃいけないことだって、充分分かってるよ」
私がぎこちなく微笑みながら言うと、2人は微妙な顔をしていた。
あと1ヶ月しかないんだ。
だから、だから―
私は必死に自分に言い聞かせた。




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