「はあ、まったく近藤さんはよ…しゃあねえ、自己紹介でもするか」
そう言ったのはスーツを着た大人で黒髪の人。
…なんとなく怖い感じ。
っと、自己紹介だっけ。
「は、初めまして! 苗字 名前です!」
とりあえず挨拶しなければと、私は1番に言って頭を下げる。
「土方 歳三だ」
「俺は原田 左之助だ、よろしくな名前」
「俺は藤堂 平助!」
「斎藤 一だ、よろしく頼む」
4人が自己紹介をしたあと、私たちの視線はある一点に向かう。
すると男はニコリと笑って言った。
「僕は沖田 総司だよ」
これで全員の自己紹介が終わった。
―しかし。
「名前ちゃん、全員の名前覚えた? 言える?」
こんな一言で、私の記憶力が試されることになった。


「土方さん…長いからヒジでいいですか」
「殺すぞ」
「ひえ。 じゃあトシで」
「しょうがねえな…」
「次、原田さん」
「正解だが左之でもいいぜ」
「じゃあ、左之で」
大人組を難なくクリアし、おそらく私と同じくらいで高校生であろう3人に写る。
ちなみに私は基本、人のことは呼び捨てだ。
最初だけはくんとかさんとかつけるけど。


「藤堂くん」
「藤堂じゃなくて平助!」
「平助ね」
「おう!」
一瞬名前間違ったのかと思ったじゃん。
「斎藤くん」
「…一だ」
「一くん」
「…ああ」
「よし!」
あ、一くんが呼び捨てじゃないのはなんとなく。


これで4人をクリア、あと1人は―
「…なんでしたっけ?」
「わざと言ってるでしょ? 名前ちゃん」
ふふ、名前覚えてるかなんて言いだしたこと、ちょっと怒ってるんですよ。
「…まさか本気で?」
「いえ、冗談ですよ沖田さん」
よし、全員クリア!
まだまだ私も若いな、と思ったそのとき。
「総司」
と、沖田さんが呟いた。
「へっ?」
「だから、沖田さんじゃなくて総司」
「…そう、じ?」
私が言うと、沖田さ…総司は、
「うん、それでいいよ♪」
と嬉しそうに微笑んだ。


不覚にも、かっこいいと思ってしまった―
そんな同居の始まりでした。


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