私には、秘密にしていることがある。


私の通う薄桜学園の剣道部はイケメン揃いで女子に大人気である。
女子はみんな「かっこいー!」とか「付き合いたいー!」とか言っている。
…だが、私は少し違った。
「名前ちゃん」
「あ、千鶴」
私に駆け寄ってきたのは親友の雪村 千鶴。
そう、あの剣道部のマネージャーである。
「千鶴はよくやっていけてるよね…」
「?」
「いや、なんでもない」


そういいつつ時計を見ると、もう5時。
「…やばい」
帰らなきゃ、そう言って鞄を取る。
「もしかして、今日は買いものの日?」
「…そうなんだよ」
「頑張ってね! じゃあね!」
「ばいばい!」
そう言って千鶴と別れ、私はスーパーへと向かった。


そして急いで買いものをし、家に帰る。
「ただいまぁー!!」
そう大声で告げる。
すると返ってきたのは、
「「「おかえり」」」
という、3つの声。
「……うわあ」
私は絶望でいっぱいだった。
重い袋を持ちながらリビングに入ると、最初に来たのは総司。
「おかえり、名前ちゃん」
薄桜学園3年、剣道部所属。
「おかえりー」
テレビを見ながら言っているのは平助。
薄桜学園2年、剣道部所属。
そして台所に立っているのは一くん。
「…遅いぞ、名前」
薄桜学園3年、剣道部所属。
―そう。
この3人は全員薄桜学園の剣道部所属―すなわち、「あの」イケメンたちなのだ。


「ねえ、お腹減ったんだけど」
総司が潰さんとばかりに寄りかかってくる。
「ちょ…! だってまさか今日剣道部無いなんて…!」
「あれ? 朝言わなかったっけ?」
「…言ってない」
「はは、ちょっと思い出したのか?」
「うるさい平助」
とりあえず総司をはがし平助をとがめ、一君のいるキッチンへと向かう。


「ごめん一くん…」
「俺は今ばっかり帰ってきたばっかりなゆえ、ご飯を炊いておいただけだ」
「いや、相当素晴らしいよ」
私お米とぐの…できないし。
「今日の夜飯はなんだ?」
「シチューでお願いします!」
「了解した」
一くんが作るのを料理があまり上手くない私が手伝いながら作っていくと、もう出来上がる頃には7時半を過ぎていた。


すると、玄関の方から音が聞こえる。
「おっ、ナイスタイミングじゃん!」
平助が言った時丁度ドアが開き、ある2人が入ってくる。
「おかえり、トシ、左之!」
「今日も疲れたな…」
「おっ良い匂いだな、シチューか?」
これまたイケメンの剣道部の顧問と副顧問、土方先生と原田先生。
2人は総司、一くん、平助の3人にも劣らず女子に大人気だ。
「じゃあ2人も帰ってきたことだし、ご飯食べよっか」
「そうだな」
人数分をテーブルに置き、決まりの場所に座る。
そして手を合わせ、トシが言う。
「いただきます」
「「「「「いただきます!」」」」」


―私、苗字 名前の秘密。
それは、学園のイケメンたちと同居していることです。


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