土曜日の朝。
「…へっ?」
今、なんて言った?
私はトシに聞き返す。


「だからな…今日の夜、総司とお前以外いないんだよ」


なんですと?
「な、なんで!?」
「「「「剣道部で学校に泊まり」」」」
「それなら総司もじゃないの!?」
「僕今怪我してるもん。 それなら名前ちゃんと一緒に家にいた方がいいでしょ?」
「いや、大丈夫だから行ってきなよ!」
「名前が1人になるよりいいだろう…色々と心配だからな」
「ええええ!?」
―ということで。
「嘘でしょ…」
今日の夜、総司と2人っきりです。


「あああ…」
たった今、4人が行ってしまった。
うう…1番不安な人と2人っきりだ…!
どうせなら一くんがよかった。
一くんなら料理できるし掃除もできるしなんでもできるのに…!
「さて、何しよっか」
この人はなんにもできない…いや、なんにもしないんだよ!!
…私もだけどね!
「じゃあ僕自分の部屋にいるねー」
「え、…あ、はい」
…普通だ!




そして何をするわけでもなく、一日が過ぎた。
夜ごはん(一くんが作っていってくれたカレー)を食べ終わり、することがない。
私も総司も、ただボーッとテレビを見ているだけ。
「…つまんない」
「僕も今そう思ってた」
いつもはがやがやしててうるさいと思っていても、いざ2人になっちゃうと寂しいかも…
「何する?」
「えー、どうしよっかなあー」
「やっぱ総司には聞かない」
なんか笑顔で考え出したからやめた。
怖い。
「…寝る?」
「まだ9時だけど…」
「とりあえずお風呂つけよう!」
「いってらっしゃい」
お風呂(直った)をつけ、リビングに戻る。


しかし。
「…あれ?」
総司はすやすやと眠っていた。
「…まだ9時だとか言ってたくせに」
とりあえずストンと隣りに腰かける。
そして総司を眺めてみる。
「まつ毛長…やっぱりイケメンさん」
普段一緒に住んでるからみんながイケメンだということを忘れてしまうけど、やっぱりすごく顔が整ってるよね。
しかも、総司は寝顔が可愛い。
「あはは」
いつも黒い笑顔だから素顔って珍しいかも…
私がそう思っていると―
「ひゃっ…!?」
総司に抱き寄せられた。

お、起きたの!?
しかし総司を見ると、まださっきのように眠ったまま。
寝ぼけてるの…?
でもなんか総司あったかいし、悪い気はしない。
「…ふわあ…」
あ、なんか私も眠くなってきちゃった。
「おやすみ、総司…」
そうして、私も眠ってしまったのだった。


「ただいまー!」
「今帰ったぞ」
「あれ? いねえのか?」
「なわけないだろう、朝の8時だぞ…」
…んん、なんか騒がしい。
ドアが開く音がして、がやがやと騒がしい。

「ただい―…」
「名前、総司―…」
「……おい」
「なっ…!?」

―あれ?
もしかして、これって…
パチリと目を開けると、やっぱり御一行が帰って来ていた。
「おかえり…」
「あ、ああ…」
「た、ただいま…」
一くんと平助がなぜか言葉に詰まるように答える。
何だろう、と私が思っているとトシが口を開いた。
「名前、隣りはどうした」
うん?
「隣り―って、え!?」
私の隣りには、こんなに騒がしくてもなお寝続けている総司がいた。
そうだ、昨日あのまま寝ちゃったんだ!
「は、恥ず…」
「なんで一緒に寝てたんだよ」
「…い、言えない」
総司の可愛い寝顔を眺めてたらつい自分も寝ちゃった、なんて恥ずかしいよ!


私がそう思っていると、なんと。
「いてっ」
一くんが総司を蹴った!
「えっ!?」
しかし驚いたのは私だけのようで、御一行はしらっとした顔をしている。
「総司…話がある、こっちへこい」
「え、何、眠いんだけど…」
そうして総司は一くんとトシのもとに連れて行かれた。
私が平助や左之と喋っていると3人は戻ってきた。
「…総司?」
「んー?」
総司は、なぜか上機嫌だった。
そして私の方に来て、耳元で言った。


「名前ちゃんの寝顔、可愛かったよ」


その日から5日間ほど、私は総司に近づけませんでした。
何故か、胸がドキドキして―


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