おはようの挨拶を交わした私たちは、朝食のテーブルにつく。
総司からコーヒーを受け取って一口飲んだ。
「で、何の夢見たの?」
夢の中で私は相当うなされていたらしい。
総司は話を聞きたくて仕方ないようだ。
『ちょっと…嫌な夢だっただけだよ』
決してちょっと、ではないのだけれど。
私は作り笑いでごまかした。
まさか「結婚式の夢を見た」なんて言えるはずがない。
特に今の私たちの関係では、なおさら。
「どうして教えてくれないのさ」
ごまかしたものの、総司はなかなか引き下がらない。
おもちゃをねだる子どもみたいに「ね?ね?」とせがんでくる。
「教えてくれないなら名前のあんなことやこんなこと、会社で言いふらしちゃおうかな〜」
『は?えぇ〜!?』
「せっかく昇進したばっかりなのにね。みんなびっくりしちゃうだろうな〜」
『そ、そんなぁ!!』
会社ではけっこう仕事ができるかっこいい女、で通ってる私。
自分で言うのもなんだけど、結構後輩からの信頼もあついと思う。
だけど同棲している総司は私の普段隠してる部分まで知っているわけで…
そんなこと言われると私の見方変わるじゃない!
後輩に変な目で見られるなんてやだ!
総司は私が頭を抱え葛藤している姿を、ほおづえをついて楽しそうに見ていた。
『う〜〜ああ!もう!』
結局私が折れて、夢の内容を総司に話して聞かせた。
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