今日は委員会も早く終わったし、部屋に戻って留三郎とたくさん話をしよう。
そう思いながら歩いていると、ふっと落ちる感覚がした。

「うわああああああああああああああ。いったあ。」

上を見上げると空が見える。
また落とし穴に落ちてしまった。

「今日の落とし穴は深いなあ。これじゃ上がれないや…」

せっかく今日は時間がたくさんあるのに。
こんな深い穴の中にいるとだんだんと気分が落ち込んでくる。
膝を抱えて空なんて見えないように座った。
嫌なことばっかり、考えてしまう。

ああ、やだな。

いつからだったんだろうか。
自分の不運にあきらめるようになったのは。
人との距離はいつも少し離れてとるようになったのは。
寂しいのが当たり前になったのは。
わがままを言わないようにしないといけないと思ったのは。
心配も迷惑も一緒でかけてはならないものだと思ったのは。

いつからこんな臆病になってしまったんだろうか。

涙が溢れてきた。
嫌だ嫌だ嫌だ。僕だってみんなと同じ場所で一緒にいたいだけなのに。
どうして。どうしてなの。僕だって寂しいよ。

穴の中に影が落ちてきた。
「伊作?いるのか?大丈夫か?ほら手を貸せ」

「とめ、さぶろう?」

上を見ると留三郎が心配そうに手を伸ばしていた。
うれしかった。きてくれたのが。手を伸ばしてくれたのが。
それだけでうれしくて。もっと涙が溢れてきた。

「伊作どこか打ったのか?痛いのか?ちょっと待ってろ!誰か呼んでくるから!」

怪我をしたと勘違いしたのだろう。焦った様子で声をかけてくる。

「留三郎!あのね、大丈夫だから!ちょっと、ちょっとだけ寂しかっただけなの。」

留三郎はいつだってきてくれる。不運に巻き込まれても仕方ないなって笑ってくれる。
そんな君がいてくれるのに僕はなんでこんなに不安になってたんだろうね。

手を伸ばして留三郎の手を掴んだ。
この人がいてくれる限りきっと僕はずっと前を向いていられる。

「留三郎ありがとね。」

「いつものことだろ。」





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診断メーカよりお題
伊作で「境界線なんていらない」





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