決勝前にキスを交わすのは契約。おまじない。鎖。 祈りを込めた悲しい想い。 喉まで出かかっている言葉を懸命に飲み込む彼女の悲痛な顔を見るのは、やっぱり辛いことだった。 『私の気持ちなんて全然、わかってくれないんだから』 一度は死にかけた自分。 幾度となく流れた涙。 言われるだろう言葉なんて、わかりすぎて聴けない。 そのままに聴けるわけがない。 自分は一生、彼女の言葉を理解ってやることはできないのだから。 それを盾に、わがままを通して甘えて。 自分の卑怯さに自嘲が浮かぶ。 それでも変わらず寄り添ってくれる彼女に有り難さと愛しさが湧いて。 目を閉じ、静かに涙を零す。 自分は倖せだと。 END ―――――――――― び、びみょ〜…; |