「ちゃんと一緒に考えて…悩んでほしかった」 怖がってもいい 醜い姿を愛してくれなくても でも それでも 「一緒に生きていこうって」 強く望んでいながら 途方もない祈りだと思った。 毎日自分を拒絶し、否定してくる目。 蔑み、詰る声。 お前さえいなければと理不尽なチカラで殴る父。 博愛じみた愛を口にする母。 それでどうして 光なんて持てよう。 そしてそれは、全て、あいつ…あの、子(ねずみ)のせいだと。 「帰りましょう、お家に」 それなのに。 青く怯え、震える言葉を叫んだ声があった。 一つだけ。 たった 一つだけ。 それで全部、救われたとか…救われようとは思わないけれど。 猫憑きとして生まれたことに憎悪と絶望は消えないけれど。 確かにそこに。 現実という名の夢はあったんだ。 END ―――――――――― 果物籠より夾くん。 |