「ちゃんと一緒に考えて…悩んでほしかった」

怖がってもいい
醜い姿を愛してくれなくても
でも
それでも

「一緒に生きていこうって」

強く望んでいながら
途方もない祈りだと思った。


毎日自分を拒絶し、否定してくる目。
蔑み、詰る声。


お前さえいなければと理不尽なチカラで殴る父。
博愛じみた愛を口にする母。



それでどうして

光なんて持てよう。



そしてそれは、全て、あいつ…あの、子(ねずみ)のせいだと。

「帰りましょう、お家に」


それなのに。
青く怯え、震える言葉を叫んだ声があった。

一つだけ。


たった


一つだけ。



それで全部、救われたとか…救われようとは思わないけれど。

猫憑きとして生まれたことに憎悪と絶望は消えないけれど。


確かにそこに。
現実という名の夢はあったんだ。



END

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果物籠より夾くん。

091014