次逢った時は殺してやる。



なんて。
物騒な事が頭を過ぎった。

目の前にあるのは大量の花火。先程ペリッパー便で送られてきた段ボールに入った大量の花火。
贈り主は赤帽子の放浪野郎。

今日は夏祭り。
毎年あいつと行く夏祭りがある日。
でも今年は行けないと先日電話で言われた。
旅先から戻って来れないと。
だから一人で行く気にはなれなくて。遠くで鳴り響く音を窓から眺め、聞くだけに留めた。


なんだかなー。
こうやって会えない日が多くなって、それが自然になっていくのかなーと他人事のように思いながら。

けれど、そしたらコレである。
無垢に笑うあいつが頭に浮かんで。

なんて残酷だろう。思った。

たぶんあいつは、行けない代わりにあたしを想って送ってきてくれたに違いない。
でもコレを一人でしろと言うのか。
皆が笑顔で大輪の火華を眺めてる間、あたしは一人、コレを眺めてろと言うのか。

酷すぎる。あんまりだ。

毎年あいつと行く夏祭りを楽しみにしているのは、屋台があるからでも、花火が見たいからでもない。
あいつという存在があるからだということに気づいてないのか、あのニブチン。
なんで止めてくれなかったのと、一緒に旅するタケシを理不尽に責めて、目頭が熱くなる。


次逢った時は絶対殺してやる。


一生ないと思っていた相手に、殺意が芽生えた瞬間だった。



END

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一人は嫌。

一人にしないでよ、バカ。


ひ、捻くれてる…orz 殺してやるはあくまでも良くある半分冗談、半分本気なカップルの気持ちですw

100801