ちょっとした喧嘩になるはずだった。
その時付き合ってた人の一つの行動が気になって、それを咎めただけだった。
付き合ってるって言っても、なんで付き合ってるのかわからなかったけど。
気がついたら。
いつの間にかコイビトというものになっていたのだ。

「なんで?なんでそんなことするの?別に貴方が怒ることじゃないじゃない。なんで…」
「うるせーなぁ」
「はぁ?うるさい?うるさいって何。あたしは貴方のそういうところを気をつければって貴方を思って」
「ちっ…めんどくせー…」
プツンと頭の奥で何かが切れる音がした。
それからはまったく覚えてない。
気がついたら、相手の頭から血が流れていた。

ついでに自分の拳も。

所謂…半殺しってやつ?



それで。


それで?



もちろんその人とはそれっきりだったけど。

なんだろ?
たぶん。はっきり言われるでもない「面倒臭い」って言葉が"キタ"んだと思う。
面倒臭いって……。
そんなの自分が1番よく知ってるっつーの。


…………

なんでだろ。
涙が出てくる。
その人と別れたことが悲しいんじゃない。
もちろん面倒臭いって言われたのは傷ついたけど。


「ほらな」

急な後ろからの声に。


「お前みたいなお転婆人魚、俺にしか相手できねーよ」

扉に背を預け、シタリ顔で胸糞悪く笑う、昔ながらの知友に。
長い間会わない幼なじみに。
「うるさい。お子ちゃまに用はないわよ」
見られてたまるか涙の跡をごまかすように吐き捨てる。


後に、男の顔で微笑うアイツからの優しい口づけが待っていることを知る由もなく。


END

――――――――――
結局はラブッチョですけど。でもきっとサトシに大人な包容力はない(笑)でもそこはサトシからの→カスミへの愛でどうにかすると思う。乗り切る。
という勝手な妄想でしたww

100519