いったいどれだけ一緒にいることを望み、請うただろう。

約一年前にプロポーズをした。尋常じゃない緊張と共に彼女が好きな水に係る凝った演出もした。馴れない言葉を使いもした。それでも彼女は首を縦に振ってはくれなかった。
あれから何度も挑戦しては撃沈を繰り返した。


何がダメなんだろう。
付き合い初めたのが14歳だったはずだから〜…6年か?
そろそろいいと思うんだ。
付き合いの長さで決まるわけじゃないけど。
ママが19の時には俺を生み、育てていたから、早いなんてことないと思う。たぶん。

「俺じゃダメってこと?」
怖かったけど聞いてみた。

「ううん。サトシじゃないとヤダ」
返ってきた返事にニヤける顔。
そして浮かぶ疑問。

「じゃぁ結婚しようぜ」
「イヤ」

即答にがくりとうなだれる可哀相な自分。

「なんで」
理由を尋ねてみても

「………」
いつもここで必ず彼女は口をつぐむ。
このやり取りを、あといくら続ければいいのだろうか。

結婚はイヤでも自分と離れようとはしない、その理由をせめて教えてくれよと苛立ちと困惑は募る。

でも。

それでも気を取り直して「結婚しよう」を繰り返す。
そんなことくらいで手放す気は更々ないから。
求めて止まない存在を形としても傍に居てもらうためにも。


自分は。
明日も明後日も。
彼女の隣で同じ言葉をかけ続ける。



END

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あえての終わり。終わりというか途中。パピでもバドでもなく。ちなみに初プロポーズ拒否はあまりのショックにサトシ、暫く動けませんでした☆

100125