彼の命は本当なら既に終わっていたことに、黄色い相棒に無邪気に話しかけているこの少年は知っているのだろうか。 永遠の命と称されるモノと、そのコピーとの戦いの間に入り、石になってしまったときの、彼の相棒の悲痛な啼き声をあたしは忘れない。 彼を想い、涙してくれたポケモンたちを、あたしは忘れない。 彼の命はたくさんのポケモンたちの涙でできている。 堪えきれなくて、ある日サトシに言った。 「あんた、解ってんの?」 そしたら、タケシに頭を叩かれた。少しだけ、険しい顔。 解ってるわよ。 でも「そういうこと」を言いたいんじゃなくて。 ママさんだって言ってたじゃない。 ママさんのサトシは一人しかいないって。 あたしも、そう思うもの。 走り回る彼を、押さえておくことなんて、あたしにはできないから。 だから。 不愉快に歪んだ顔を浮かべる彼に、あたしは密かに安堵した。 END ―――――――――― 出来上がった後にM2映画は夢落ちだったことに気づく…orz |