「本当にキラは可愛らしい方ですわね」 「は?」 マルキオ邸にてお茶を楽しんでいたキラとカガリに、ふとラクスが呟いた。 「良かったなキラ。可愛いってさ」 「ちょ、カガリは黙ってて」 ラクスの不思議な…というよりも人よりも視点の違う彼女の感覚に、2年以上の付き合いの賜物か、カガリは戸惑うことなく受け流す。 キラはその感覚よりも、男の自分に可愛いと言われたことが納得できず、嬉しくないよと訝しんだ。相手が想い人であるだけ余計に。 「ラクスどうしたの?突然」 「いえ、なんだかカガリさんと並んでお茶菓子を食べられてるお姿や、よく泣いておられた時のことを思いましたら、ふとそう…」 「あー確かにコイツいっつも泣いてたからな」 「カガリ!いつの話してんのさ!僕はもう泣いてないよ!」 「どうだか。ラクスと離れたくないよーとかって泣いてたじゃないか」 「まぁ」 「なっ、泣くわけないだろ!」 「はは。ムキになるなって」 「もう。でも正直なところ、あんまり可愛いって言われたくないんだけど。男として」 昔から容姿については、同じようなことを言われてきてはいるキラだった。でもそれは昔。男として成長し始めている己に言われるのはあまり良い気はしない。褒めてくれただろうラクスに申し訳ないと思うが、譲れない部分だからキラは苦笑を送った。 「そうですの?とても可愛らしいのに」 「だ、だからね、ラクス」 またも言われた可愛らしい。 わかっていないなと、キラは心理を話そうと再び口を開いた。だが、それより先にラクスが言葉を繋いだ。 「わたくしは素敵なことだと思いますのに。キラは容姿のことを仰いましたが、中身も可愛らしい方。それはとても羨ましいことです。人にはきっと、可愛らしさは必需品。守りたいと、貴方が好きだと思える要素。勿論可愛らしさが全てではありませんが、持っているからこそ人は愛される」 語るラクスに、二人は見入る。よもや、そんな意味を含んで言っていると思わなかったからだ。 「そっか…ありがとうラクス。でも僕にしてみたらラクスの方が可愛いよ」 「まぁ!ありがとうございます」 嬉しそうにはにかむラクスに、キラもまた微笑み返した。 その横で、なるほどと感心していたカガリだったが、(他称)弟の無意識な発言により、げんなりと甘い口元をお茶で流した。 「本当にキラは愛され上手!ですわ!」 最後に一言。 手を合わせて微笑むラクスに、カガリはブハっとお茶を笑いこぼし、キラは笑顔のまま固まったのだった。 END ―――――――――― 可愛らしさって人にとって凄く重要だなと思って。 時間軸的には種運後、ラクスプラント行き前くらいかな。 立場だとか本当に設定めちゃくちゃ。 アスラン…ごめっ…!ww |