「はぁ〜…ん。でも、まさかあんたがアララ国第一王女だったとわね〜」
小一時間ほど前。
珍しくアルミホエール号にて一人やってきた、昔からの知友を眺めながら、カチャリと紅茶の入ったカップをソーサーに戻して、青い髪の美人は呟いた。
「ほんと。ドン・ハルマゲのせいで危うく財産も全部パァになるとこだったわよ」
同じく高級そうなソファーに座りながら、入れられていた紅茶を啜り、金髪の美女は足を組み直した。
「それじゃもう気安く、レスカ、なんて言えないわね、『カフェオレ女王』」
「やめてよ。アタシとあんたの仲でしょ」
「それはそれは光栄なことで」
「ベッピーン!」
「ふふ、そう怒らないでよ」
「まったく。せっかく息抜きに来たのに」
「息抜き?何、やっぱりいきなり皇室生活はキツいの?」
「そうじゃないわよ。そうじゃないけど…」
「何?」
「……。まっ、ただ単に世間話がしたかっただけよ」
「あんた妹たちや、あの変態は?」
「変態…。そうね、でも……。言えないことってあるじゃない」
「………。なるほど、ね」
「だkら、少しは良かったのかもしれないわね。ドン・ハルマゲに連れてかれなったら、あんたに会うこともなかったし」
「あんた…」
少しだけ物悲しそうに呟く金髪を、滅多なことではそんなこと言わない性格だからこそ、驚きの表情で見つめて。
「さぁて、そろそろ帰らないとパパたちが心配するわー」
言いながら立ち上がるレスカに、部屋の自動扉が開く前に声をかける。
「……。レスカ」
「あー?」
「姫のあんたの気持ち、わからないでもないわ。でも…」
「………」
「あの顔も名前も美しくない、ダサい土手カボチャが好きって気持ちは、アタシには一生理解できそうにないわ」
にこりと端正な笑顔を送る。
「…。っな、何〜!?てめーもういっぺん言ってみな!」
「おほほほほほ。いくらでも言ってあげるわ〜。まさかあのドジでマヌケなアンポンタンのこと好きになっちゃうなんて〜。あ、でも貴方にはあれくらいで丁度いいわよね、そうよね。ごめんなさ〜い」
「て、てめー!怒った〜!表へ出な、タイマンだよ!」
「おもしれー!やってやるよ!」

そうやって、昔ながらの喧嘩が始まって。
でも、いくらか心が大きくなった彼女たちは、同じことを思う。



((これも、腐れ縁ってやつかしらね))



END

――――――――――
鶏の世にも珍しいレスカとベッピーンの友情話。
所々で垣間見える、さすが長女といえるレスカの行動は、凄いと思えるし、やっぱり年長者だなと感心する。でもだからこその責任てあるわけで。年長者といってもまだ子供で、辛いこととかあるだろうなと。それを解消できる相手は悪友でもベッピーンだけなんだろうなって思ってできた産物。

101212