気づかなかったそれは、想いが強く、優しくなればなるほど、明確に示してきた。 「なぁ。カスミは俺のこと好き?」 「な!?ななな何よいきなり!」 赤く慌てるこの反応。 恥ずかしがり屋な彼女なら、可愛いと思えるものかもしれない。 けれど。 「いいから。どうなんだよ。好き?」 「っ……。………好、き」 「…………」 照れながら述べられた言葉に、昔の自分は素直に喜んでいただろう。 でも彼女への想いが揺るぎない確かなものになり始めてきた時、違和感を感じるようになった。 壁。とでも言うのだろうか。 理由などわからない。 ただ、感じだ。感覚的にそう思う。 彼女の「好き」が聞こえない。 同じ想いであるはずなのに距離を感じる自分は、彼女を信じていないと言うことなのか。 そうやって疑心は募り、今日みたいに目が合わない日は、感情に任せて乱暴に彼女を抱いた。 疑心や焦り、苛立ちをぶつけるように。 こんなことは止めるべきだと判っていても、そんな自分を、涙を流しながら甘受する彼女が酷く不思議で、余計に苛立って。 何故だとぶつける想いは強くなる。 彼女の本心が掴めず、また見せようとしてくれない彼女に、お互い。 悲しい傷が増えていくばかりだった。 end→ |