子くんとお兄さん








「相田ちゃん相田ちゃん」

「黒子くん?どうかした?」

「いや、何かいつもに増して機嫌良さげだから何かあったのかと思ってね」

「わかる?」

「お花飛んでますから」



うそでしょ、と言いながらも頬が緩んでいる相田ちゃん。

今のクラスで仲の良い女子の筆頭にあたる。サバサバした彼女は実に付き合いやすい。



「それで、何があったの?」

「えっとね」



彼女の話を端的に纏めると、強豪である海常高校と練習試合を組めたということらしい。



「へぇ…それはすごいな」

「でっしょー!!」



確か全国の常連じゃなかったかあそこ。

そこと練習試合が組めたというのは中々。

そこでふと思った。

ドリンク、どうするのだろうかと。



「…なぁ相田ちゃん」

「なに?」

「ドリンクはどうすんの?」

「ベンチの1年生達にやってもらうつもりよ」



あくまで予定だけどね、と続ける。

ベンチの子達か。まぁ、順当なんだけど。

一つ提案を持ちかけてみようかと思った。



「ドリンク、俺がやろうか?」

「………えっ?!!」

「中学のとき色々あったから慣れてんのドリンク作り」

「…本当にいいの?」

「ちょうど弟の様子見たかったし…」

「弟…?」

「いるだろ?影の薄い子」

「……ええっ?!!黒子くん?!!黒子くん、黒子くんの弟なの!!?」

「うお…黒子に黒子て紛らわしいな…」



口をパクパクとさせる相田ちゃんを見ながら、手に持っていたパックジュースを啜った。

あ、ちなみにいちごミルクね。

この甘さいいよな。身体に染み渡る感じがして…。



「全然似てないじゃない!!!」

「そうか…?目尻とか口元似てることないか?」

「わかんないわよ!!!」

「えー…」



そんな風に指でビシッと指さないでくれよ…。

髪の毛の感じとかも似ていると思うんだけどなぁ。






***






「やぁ、テツヤ」

「…なんでいるんですか兄さん」



この時の相田ちゃん以外のバスケ部の面々の表情といったら…。前の相田ちゃんそっくりだ…。

揃いも揃って「こいつが黒子の兄?!!」とでも言うような表情をしている。

…そんなに似てないのか?自分ではそれなりに似ていると思っているんだけどなぁ。



「臨時マネージャー、みたいな?」

「………」

「(おいおい無言かよ…)…久しぶりにテツヤのプレイが観たいなと思った兄心を汲んでくれないか?」

「…そうですか」



面倒くさいとでも言いたげな表情をされるとは…。今反抗期だっけテツヤ。

なんて思いながら海常の体育館まで歩いた。

黄瀬の扇動で着いた体育館の中を見て、これはないだろと思う。コート半面て、少し舐め過ぎじゃないか?

誠凛は設立1年目で県ベスト4入りしたってのに…。よほど相手は傲慢と見える……って、



「は…?」



この監督、今なんて言った?

体育館の中をぐるりと見渡しながらも耳はきちんと話に向けていた。

調整?…いやいやいや、さすがにそれは。舐め過ぎ、って言葉じゃ足りないぞ。

正直部外者な俺でも、カチンときた。

この憤りは全てドリンク作りに注ぎ込んでやろうと思いながら、彼等と共に更衣室へと向かった。







てかさ、6人目を擁するチームだってわかってないでしょ。

うちの弟、舐めてもらっちゃ困るよ?








(2014/03/12 更新)


これ、タイトル「黒子くんとお兄さん」じゃなくて「黒子くんのお兄さん」にした方が正しいですよね…予想以上にテツヤが出てこなかった…。
この話、お兄さんに設定をもう少し追加して中編書いてみたいです。
お兄さんがどうしてドリンク作りに慣れているかとか、色々考えたんで。
短編って、どこまで詰め込んで書いたらいいのか分からないんです。長さもね…orz








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