Diary



「姉さん、ニューヨークに行ってからちょっと変だよ?」
「そうかしら?」

私と似て美人な弟が小首を傾げながら言う。私と同じで年齢不詳に見えるこの子のその仕草は、時によっては相手に恐怖を植えつける。
乳白色の肌に赤み掛かった淡青色の目(毛細血管の色だ)、何にも染められていない真っ白な髪。所謂アルビノ。それも、その美しさに神秘的な要素を加えているのかもしれない。

「私に隠せるとおもっているのかな、この美しい姉さんは」
「あら、本当にわからないのよ?」
「……何かを思い出すように笑うっていうのに?」
「あぁ、変ってそういうことね」

そう言って笑えば、弟は頬を膨らませる。可愛らしい事だ。まぁ、実年齢を考えてはいけないのだが。

「ニューヨークで、私がライ…いえ赤井を捜していたのは知っているわね?」
「もちろん」
「その時、通り魔になっていたのだけど興味深い子に会ったのよ」
「へぇ」

弟の目がすっと細められる。口元に指が持っていかれるのを見た。

「何を思ったか、落ちかけた私を助けたのよ。そして犯罪者を何で助けたんだと問うたら何て答えたと思う?」
「そうだね、話の流れからするに『人を助けるのに理由なんていらない』という感じかな」
「That’s right. そんな感じよ」

弟は口元に当てていた手を外した。そして、近づいてきて私の唇にその指先を当てながら言った。

「ねぇ、それは誰なんだい」
「ふふ、気になるの?」
「大切な姉さんの琴線に触れた人(ヤツ)だからね」
「安心しなさい。若い子よ。それに一人じゃないの。東洋人の可愛い未来のカップルよ」
「……へぇ」
「貴方には言っておいた方がいいかもね」
「そうだね。万が一、なんて無に越した事はないけど、一応ね。その時守りやすいし。……さぁ、そのエンジェルとクールガイについて教えてよ姉さん」
「そう、急かないでちょうだい」

後は、お酒なんて呑みながらでどう?
私はここへ来る途中に買ったスコッチ・ウイスキーを胸の前で掲げながら言った。



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