りほさん(ベル夢サイパン旅行)


ターコイズブルーの海へ、ダイビング。
透き通る海は、珊瑚とたくさんの熱帯魚、透明度が高くて、空を飛んでいるような気分になる。
ぶくぶくぶく、背負った酸素タンクからぶくぶくと空気が出ては地上へと上がっては、地上にはぜて、ここは楽園に近いのかと錯覚させられる。正直なところ私たちの仕事からすると楽園と言うより地獄の方が近い気がするので生きているうちに天国に近い部分も味わっておこうと思う。
イルカが横を通って、思わず目で追ったら、後ろから肩をたたかれ振り返れば水面から届く光に髪をきらめかせる金髪の王子がいつものにんまり顔で悪戯っこのように笑っている。

海が綺麗だから、と私をサイパンの海にまで強引に連れてきたベルは上に行こうとハンドサインで示して、やはり私の返事など聞かずに浮上、ボンベを外したら現れたいつものにんまり顔も、また元の顔がいいものだからまさに水も滴るいい男。

整った金色の髪から、ぱたぱたと水滴が落ちて滑らかな肌も水が流れる様を見せつけられ、ビスクドールが息してるんじゃないだろうか、なんて錯覚を受けながら思わず見とれていれば。

「お前さぁ、もうちょっと優雅に泳げねぇの?」

口を開いた瞬間私ビスクドールに謝らなきゃなと思った。静かにして美しいだけの彼らにこんな毒を吐くお口はいらない。

「黙っていればイケメン王子様なのにベル…」
「うしし、どこからどう見てもオレ王子様だよ、だって」
「なに」
「お姫様が隣にいるときは誰だってイケメン王子様だもん」

一瞬言葉どんな意味か考えてから、意味が脳内に来て思考回路ぶっ飛んだ。真っ白になって居るままに、水のしたたる王子様は私に口づけをして、そのまま水中へ押し入れられる。

(それにさ、)
(こうされんの嫌いじゃないだろ)

整った唇から、溢れた気泡に気を取られるまでもなく。
唇が動いたのが見えて、ああくそ、お見通しでこういうことするわけかと私はいつまでも王子様には勝てないらしいことだけわかった。

20140924(りほさん)(サンクスナイスリクエスト).


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