「お命頂戴!」「天誅!」「殿中でござる!」最後だけ違う、と誰も突っ込まないのは、構えた剣がチラシを丸めた紙製のもので、それを構えるのがちびっこだからだ。そしてそれを容赦なく一掃してイキイキ紙製の剣をふるっているのはスクアーロ先生。ちびっこ相手に無双をする大人の顔に大人気などと言うものは一切ない。どうやら頭に乗っている兜を欲しければ俺を倒して見せろ、みたいな流れからこんな大人げない事をしているらしい。


「にいさん!かくごおお!!」


ニコラが飛び出し剣を振り上げ面を打とうとすれば、容赦ない足払い。受け身をとってくそっと立ち上がり再び剣を構える。


「そうだぁ!来い!強い子にしてやるぜぇ!」

「ちょ、スクアーロ何してるの!?」

「よぉ、稽古つけてるんだぁ。混ざるかぁ?」

「まざらないよ!怪我しちゃったらどうするの?!」

「ゆうせんせい、わたしはだいじょうぶだ」

「この程度でけがするように教育してねぇし、何かあった時のために教えてるんだぁ」

「何かあったときって…」

「ニコラは可愛いからなぁ、誘拐とか、痴漢とか、彼氏ができた時に追い払えねぇと」

「最後は追い払う必要がないような…」

「ニコラを嫁にやるくらいならオレが結婚する」

「スクアーロ…」

「うわああああん!!それならわたしはゆうせんせいとけっこんする!!にいさんとけっこんするくらいなら!!」


マジ泣きされた。


20130505.


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -