園長先生の部屋は日当たり、風通し良好です。


*


「園長!ガキどもの昼寝の時間だぜぇ、出てこい!」


無音。
ノック。
無音。
今日は出張の日だったろうかと首を傾げてからドアを開ければ、日当たり、風通し良好な部屋で園児たちより先に就寝中だった。
がっくりとひざをつく。
デスクを見れば、仕事をしている姿を見たやつは一人としていないというのにチェック済みの判子やサイン、今後の日程などがご丁寧にクリップに留められてはチェック済みの箱に纏められていた。
いつ仕事をしているのか謎である。デスクは長い足かけと勘違いしている節があるし。
まあ仕事をしてくれるに越したことはないから、これはこれで良いのだが――お昼寝の時間というのは先生の隣がとても人気で、隣で寝て欲しいとせがむ子供がいるし、楽しみにしている子供もいるからXANXUS園長にも協力して欲しいのだが。

ダメもとで声をかけてみる。


「XANXUS」

「……ここでは園長をつけろ、カス」

「ここではスクアーロ先生だろぉ」


起きたようで目をこしこしして伸びをするさまは子供がそのまま大きくなったようだった。


「ガキどもが待ってる。下で寝るぞぉ」

「だりぃ」

「だりぃって、う゛ぉおい!?」


鮫柄を縫い付けたエプロンを乱暴に捕まれて体勢を崩しそのままXANXUSの胸に飛び込んでしまった。


「今日はここで寝る」

「おい、待て、ならオレはいらねぇだろぉ!」

「…暴れるな。抱き枕がねえと寝心地悪い」


抱き枕扱いされた。
しかしもう問答無用で寝る体勢に入ってやがるし、今から起こすのも腕をほどくのも骨が折れそうで。
結果、いつものごとくオレがあきらめた。
とりあえず起こす時間だけはとエプロンから目覚ましをだしてかけるだけかけて枕元に置けば、XANXUSはにやりと笑って目を閉じた。


*


一方園長室の外では。


「………」

「べすたせんせ、しゅくあーろせんせーいないのかぁ?」

「うん、今日はここで園長先生とおやすみするらしい。今日はさめぐみはらいおんぐみで一緒に寝ような」

「!ほんとかぁ!?べすたせんせのとなりでねていい?」

「そうだな、ゆっくり寝よう」


ベスター先生がアーロ君と手を繋いでみんなを寝かしつけに行ったのでした。



とりあえず夫婦から始めませんか
(日常に埋没)(それも悪くないと思うのは)(当たり前にお前が居るからだろう)


20130424(title:反転コンタクトさま).

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