「今日はラブレターの日です。大好きな人にお手紙か絵を描きましょう」



優先生がみんなに紙を配ってペンを用意するように言ってから、みんなでテーブルで手紙を書いた。
次の休み時間。
幹部がとろけそうな笑顔のまま後ろから飛びついてきた。


「ざんざしゅくんざんざしゅくん!これー!!」


そして見せてきたのは、さっきの時間に書いた手紙だ。
絶対こいつラブレターの意味わかってない、と思いながら受け取る。
よんでよんでー!と、自分で書いたんだから内容はわかっているだろうにわくわくした目を向けてきた幹部の前でシールが破れないように手紙を開ける。へったくそな字で

“ざんざすくんえ。だいすきです。ずっといっしよにいてくだちい”

と。

短いながらも一生懸命書いたのだろう手紙が姿を現した。“す”の丸が逆だし、“さ”が“ち”になってるし日本語が怪しいような文字が所々混じっているもののなんとか解読できた。


「…もらっておいてやる」

「うん!」


ぱあぁぁっ!
きらっきら輝く笑顔で見てきたのを背に受けながら、クラスと名前を書いた鞄に手紙を詰めてから舌打ち。
オレもさっき書いた手紙を渡す予定だったのに先に渡されたから渡すタイミングを逃した。


「………」


ぐしゃ。
手の中でごみになったそれを投げ捨てれば、幹部がボールを投げられた犬のように拾ってもってきた。


「ざんざしゅくん、おちた!よ!」


落ちたんじゃない捨てたんだよ馬鹿拾ってくるな。


「ごみだ」

「かんぶ…へ」


くしゃくしゃながらも外に書いてある宛名をめざとく見つけた幹部から視線をそらす。


「……ごみだっつったろ」

「わたしに?」

「ごみ!おれはいらないからすてたんだ」

「じゃあもらっていい?」

「かってにしろばか!」


結局素直になれなかったけど渡すべきやつに渡したから満足したものの――その場で開けて読もうとした馬鹿は黙読ができないから口に出そうとしていた。
ちょ、待て馬鹿か!
反射的に顔面を叩いて黙らせる。どんな公開処刑する気だこいつ。
顔を押さえて「オー!ノー!!」と叫んだから「いえでよめ!」と思わず叫んだ。



大きなボール箱に夢を 小さな宝石箱に未来を
(たくさんの希望を詰められる箱を探す)


20130523(title:反転コンタクトさま).

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