せっかくのナターレに風邪引いて寝込んで学校を休んだ馬鹿に放課後メールを送る。
ナターレだナターレだと幹部がきゃんきゃん喚いたおかげで当日にプレゼントを用意したというスクアーロやら補佐やらベルやらフランやら跳ね馬やら生徒会のチビやらがプレゼントを持ってきたと幹部の教室に行ったが休みだったからオレに渡せと渡してきたせいですげぇ荷物になってやがる。
メールを送る。
今から行く。
何か欲しいものは?
短い端的なメールだったせいかすぐに返信が帰ってきたので携帯を開く。果たして返信は。
まるいケーキ!!
オレが電話をかけた瞬間に通話が始まったので腹から息を吐き出す。
「アホ!!!」
『なんでぇえ!?ナターレなんだからまるいケーキ食べたい!』
電話口に聞こえた鼻声に舌打ちしながら説教。暖まる精の付くものにしろ!と怒れば電話口の向こうで不満そうな声が聞こえたが切ってしまう。あほと話していたら見舞いに行く前に今日が終わる。
*
「ボスー!!いらっしゃい!!」
インターフォンを押す前にドアから飛びかかってきた幹部をたたき落としかけたが風邪を引いているのが頭をよぎり逡巡する間に抱きつかれたので、ため息してから引きずるように部屋まで上がり込む。
部屋につくまでにちらりと家の中を見ればナターレだというのに両親は家にいもしないのか空気が冷たく暗かった。気づかなかった振りをしてコアラの子供のようにしがみついたままの幹部をベッドに投げ出し毛布を掛ける。鼻をすすったのでティッシュ箱を投げつけた。
「ボス、ありがとう!」
「……さっきスーパーでチンしてきたからまだ暖かい。さっさと食え」
「カツ丼たべたい!」
「本当に病人かお前!?アホなこと言ってるんじゃねぇ。黙って卵粥に梅肉のせて食え!」
「あれっ、それなに?」
話の腰を押ってオレがカス共から預かってきた荷物に視線をやった幹部。本当に目移りのスピードが世界レベルに速いなこいつ。
「…。お前にカ、……サンタからプレゼント」
「!サンタさんから!?」
「後で見ろ。暖かいうちにそれ食っちまえ」
「うん!」
ふうふうしてから粥を口に運ぶ幹部はなんだか嬉しそうだった。
「なににやにやしてんだよ」
「なんか、病気とかナターレの時に人が居てくれるのって嬉しいなって。来てくれてありがと!」
「……るせぇな。デザートもあるから速くそれ食えよ」
「デザート?」
「ん」
小さなサンタが乗った一番小さいサイズのホールのケーキを見せてやればきらっきらした視線を向けて再び飛びかかろうとしてきて粥がこぼれそうになっていたので慌てて戻す。
「ボスすきぃいい!!」
「バカッ!粥がこぼれるから暴れるんじゃねぇ!!」
煙突が無くても大丈夫
(おまえの夢くらい)(サンタになって叶えてやるよ)
(一生な)
(玄関から侵入するサンタクロース)
20131224(title:反転コンタクトさま).