第9箱 校舎の乱れは心の乱れです

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【箱庭学園風紀委員会】
学園治安の維持を至上目的とする遊撃部隊。
理事会・職員室を始めとするあらゆる権力から解放された
独立特務機関である。
人呼んで学園警察!!

【箱庭学園美化委員会】
学園校舎の清掃を至上目的とする委員会。
教室・特別教室を始めとするあらゆる部屋を立ち入る事を
許された特別業務委員会である。
人呼んで学園メイド!!

今週は風紀委員の学園風紀徹底週間(がくえんふうきてっていしゅうかん)である。
故に、美化委員も学園清掃徹底週間(がくえんせいそうてっていしゅうかん)である。

委員会のため、朝早く学校に向かうと”学園風紀徹底週間”と
書かれた板が門に立てかけてあった。

『・・・オハヨウゴザイマス。鬼瀬針音(おにがせはりがね)さん』

「!・・・おはようございます。迷為我真宵さん」

一年三組、鬼瀬針音。二つ名は”手錠メリケンの鬼瀬”
やたらと校舎を壊す美化委員内での問題児だ。
だから、僕はコイツが嫌いだ。いや美化委員は皆嫌っている。
タダでさえ忙しい美化委員の仕事増やすから…。

「・・・・・・通っていいですよ」

『言われなくても入るよ』

私は無視して校舎に入っていた。



「真宵ってば学園風紀徹底週間だからすこぶる機嫌悪いね」

『朝から校舎破壊常習犯(おにがせはりがね)にあったからね』

はーちゃんと一緒にお菓子をつまむ。
はーちゃんといると凄くおちつく。

「なるほどね♪」

「そういえばさっき鬼瀬みたぜ?」

いきなり話に誰かが参加する。

『えっと・・・日向(ひむき)くん』

日向(ひゅうが)だ。確か生徒会の方に向かってたぜ?」

『戯言だよ・・・』

激しく嫌な予感がする。


ドゴン バゴン

『………(イラッ』

「「………」」

『行ってくる』

私は急いで教室を飛び出し、委員室へ急いだ。




音の方へと急ぐと案の定とうか、廊下が荒れていた。
こういう時、彼がいてくれたらなぁ……。

『ちょっと問題児さん?』

「「!!」」

僕の声に二人が振り向く。

『”善行を積んでいるのだから悪行を見逃せと?”か。
その言葉、君に返すよ。”風紀委員だからって校舎を乱していいの?
校舎の乱れは心の乱れですよ。故に心の乱れは風紀の乱れ!違いますか?”
まぁ、・・・・・・戯言だけどね』

赤色直伝の声帯模写を使って、鬼瀬さんの真似をする。

「それは・・・その・・・」

鬼瀬さんは口をつぐんだ。

『・・・・・・・言う事は?』

「「ごめんなさい」」

二人揃って土下座する。
しかし、何故善吉君まで土下座してるのか分からない。

とりあえず鬼瀬さんには美化委員の大変さを知ってもらうため
美化用制服(めいどふく)を着せて
仕事をさせた。
(彼女は全校生徒の笑いものにされていた)


「えー、今日は美化員総出で屋外プールの清掃を行います」

その言葉どおりに私達は屋外プールの清掃を行った。
先ず水を抜き、ホースでプール全体を一度流してからブラシでプールをこする。

ジャッコ ジャッコ

「・・・・・・・そいニャー!!」

「「「「きゃああああ!!!???」」」」

彦根先輩がホースの水を僕達にかけてきた。
皆、水浸しになった。

「チッ・・・・・・・メイド服は防水加工かぁ。残念ですニゃ!」

「〜〜〜っ!もう!さっきから貴方達はなんn」

「おい小童」

「!?」

彦根先輩のいきなりの低い声に、鬼瀬さんの肩が揺れる。

「先輩は敬えや、下級生(クソガキ)が」

それから彼女は言葉を話さなくなった。
自業自得かな。



タイルを磨き、雑草を切り、大分プールは綺麗になった。

「大津委員長、終りましたね」

「おー、そうだな皆お疲れ様ー!」

そういって大津先輩は皆の冷えた手に温かなコーヒーを配ってくれる。

「はい、鬼瀬針音さん」

「・・・・・・・ありがとうございます」

手に持たされたコーヒーをすする。
・・・・・・苦い。

『案外大変でしょ?美化委員は』

「そうですね」

『でも、いい人の集まりだよ。
・・・・・・戯言だけどね』

「・・・・・・そうですね」

そう言いながら、彼女は視線の先の先輩達を見て
かすかに笑った気がした。












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