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いつも、いつも。赤毛の子供のそばには誰かがいる。近付けた試しなんかない。けれど、一生懸命な子供の姿は眩しくて何より美しく見えた。かつて覚えた苦しいような悲しいような感情が胸の中を埋め尽くす。
そうだ。騎士団の中では生きていけないと分かって、枠から外れればもっと己らしく生きられると信じていた。けれど現実は生易しいものじゃなかった。それに引き換え、騎士団に残った親友のフレン・シーフォはずっとずっと先にいて、置いていかれたような途方に暮れる気持ち。この感情の名は。


「ユーリ?」


声をかけられてユーリ・ローウェルは顔を上げた。驚いた。離れたところで眺めていたはずの少女、ルーク・フォン・ファブレがいた。てらいなく向けられる笑顔に少し戸惑う。


「ルーク!」


呼ばれてルークは戸惑うように声のした方を向いたが、気にするようユーリを見た。


「行けよ。呼んでる」

「でも」

「行けばいい。俺は大丈夫だから」

「ユーリ……」


迷って結局、彼女は行ってしまった。一抹の寂しさ。紫暗の瞳が切なく揺れた。


「そんな顔するくらいなら行かせなきゃ良いのに」

「そうだな。そうできたらどんなに……」


いつの間にか隣にいたレイヴンに驚きつつも、ユーリはルークを視線で追い続けていた。少し離れた場所でエステルたちと楽しそうに話している姿は何とも言えず可愛い。やはり笑っているのが一番だと思う。お日さまのように暖かで、時に大地を潤す一滴のように優しい。


「ほんっと幸せそうな顔しちゃってまあ。ご馳走様」


実際結構幸せだ。例えそばにいなくてもルークは笑っている。望むのならば己の隣でも笑っていてほしい。我が儘だと分かっている。
顔を俯けて、ふと上げればやはり楽しそうに話しているルークと、フレン。


「青年、目が据わってるわよ」

「……」

「お嬢ちゃんたちは許せてもフレン君は駄目って、それ、かなり不公平よ?」

「不公平でいい」

「は、……ちょ、青年!?」


ユーリは目を据わらせたまま、ルークとフレンに近づくと二人を強引に引き離した。ルークもフレンも驚いたようにユーリを見たが、フレンは何事かを察して苦笑した。


「ルーク様、ユーリのお相手お願いできますか」

「うん……?」

「ユーリ、粗相のないように」

「分かってるよ。お前のお小言は聞き飽きたっつーの」


不機嫌そうな声音にフレンはやはり苦笑してそばを離れた。なかなかに鋭い騎士団長代理殿はユーリの心境などお見通しらしい。
ルークが己以外の異性と話しているのは胸がムカムカする。ジュディス曰わく顔に出てしまっている、らしい。あまり意識せずにそうなっているらしいと自覚してからは顔に出さないよう努力しているつもりなのだが、最近はエステルにまでツッコミを入れられるくらい慢性化している。


「ユーリ?」

「何でもない、」

「本当に? さっきから怖い顔してる。俺、何かした?」

「してない……俺の問題だから気にすんなよ」


そう言うとルークはしょぼくれて俯いた。拒絶されたと思ったのか。彼女はユーリの元を離れようと一歩を踏み出す前にユーリはルークを抱きしめた。


「ユ、ーリ……?」

「勘違いするなよ。俺は別にお前が嫌いだなんて一言も言ってない」

「でも、……、ぁ」


甘い口付け。薄く目を開けるとルークが頬を真っ赤に染めているのが分かった。可愛いな、と心中思いながら、一層深く貪った。終いにはルークが気絶してしまい説教を食らったが、ユーリは妙にすっきりした気持ちになっていた。





君の瞳に恋してる










――――――――――
相互記念、遊夢さまへ!
タイトル全然関係なかった……orz
総受とリクエスト受けたのに、ごめんなさい……土下座。
その代わり、嫉妬するユーリはバッチリだと思います!
ど、どうでしょうか……?
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